こんにちは、ユキです!
前回の続きになります。前回までの記事は、下記URLをご覧ください。


このテーマは本当に書き始めると止まらないのですが、本記事を完結編にしたいと思います。
ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。
前回の記事でも書きましたが、最終的に私はエージェントを通して応募する方法をきっぱりやめ、自分で企業へ直接応募する道を選びました。もちろん、就職エージェントに救われている方もたくさんいると思いますし、障害者就職エージェントの中には、聴覚障害者について深く理解している担当者もいると思います。
ただ、私自身が感じたのは、ろう者の働き方を深く理解している人は、決して多くないということでした。
そして何より、「自分のことは自分が一番よく知っている」という思いがありました。
第三者を介して、自分のことが希望する会社へどのように伝えられているのかが見えないことに不安を感じていたのです。直接応募であれば、自分の経験や考えを、自分の言葉でダイレクトに伝えることができます。
前職で培ってきた経験や、ろう者としてどのように働いてきたのかを一番よく知っているのは、自分自身です。
だから私は、直接応募という形を選びました。
転職活動では、エージェントや就職サイトで情報収集を行い、気になった求人があれば会社名を調べ、企業の公式採用ページから直接応募していました。
それと、これは私の性格もあるのですが、、、(笑)かなりせっかちなので、企業と直接やり取りをした方が話が早かったんです。体感では、エージェントを通すとメールのやり取りや選考に2倍くらい時間がかかる印象でした。
面接で私が意識していたのは、「できないこと」ではなく、「ろう者はどうすれば働けるのか」を伝えることです。
面接で「聞こえません」とだけ伝えても、それだけでは相手には不安だけが残ってしまいます。だから私は、企業が疑問に思いそうなことを先回りして、具体的に説明するようにしていました。
例えば、
質問:「会議はどうするの?」
→ 対面であっても全員でオンライン会議を活用する方法があります。字幕機能を利用しながら内容を確認できます。
質問:「コミュニケーション方法は?」
→ お互いにパソコンを開き、チャットやオンライン会議の字幕機能を使ってやり取りできます。
質問:「在宅勤務で業務を教えるには?」
→ 画面共有をしながらレクチャーする方法がやりやすいです。
これは聞こえる・聞こえないに関係なく、とても便利な方法だと思います。
このように、採用面接では「どうすれば働けるのか」を具体的に伝えることで、企業側にも安心してもらいやすくなります。実際に、今月に入社した現在の会社でも、社員全員がパソコンを持参し、会議室に集まりながらオンライン会議に参加しています。私は字幕を読みながら会議に参加し、必要に応じてチャットでやり取りをしています。
この働き方が広まったきっかけは、コロナ禍だったのではないかと思います。
結果として、それがろう者にとって大きな恩恵になりました。
文字起こしツールの精度も年々向上し、本当に良い時代になったと感じています。
もちろん、課題はまだ山ほどありますし、便利になったとはいえ、社会全体の環境は、まだまだ発展途上だと感じる場面も少なくありません。
そして2026年7月には、法定障害者雇用率が2.7%へ引き上げられました。

多くの企業が障害者採用への対応に追われていることと思います。
正直、ここまで雇用率が引き上げられると、企業側には「人を見る力」が、そして転職活動をする私たちには「企業を見る力」が、これまで以上に求められるのではないかと考えています。
誤解を恐れずに言えば、「人数を満たすための採用」ではなく、その人を理解し、活躍できる環境を整えられる会社かどうかが大切なのではないでしょうか。
そして私たち求職者側も、その会社が本当に自分に合っているのかを見極める力が必要だと思います。
聞こえない人、ろう者の場合は、一つの方法として、ろうコミュニティで情報交換をすることをおすすめします。
実際に働いているろう者から話を聞くと、求人票には載っていない情報をたくさん知ることができます。
職場の雰囲気や配慮の状況、収入、休日、働きやすさなど、リアルな情報を得られるのです。
ろう者の就職において、多くのろう者の体験談や情報交換は、本当に心強い存在になります。
そして、女性という立場だからこそ考えることもあります。
現在の会社では、社員食堂へ行くと多くの社員が利用していますが、見た印象では7〜8割ほどが男性です。
もちろん職種や業界にもよるとは思いますが、「まだまだ男性が多い職場なんだな」と感じました。
それと同時に、今の時代でも、女性が働き続けることの難しさについて改めて考えさせられました。
私自身、ろう児を育てる母親として、30代に入る前に正社員を辞めざるを得ませんでした。
(詳しくは下記記事をご覧ください。)

あれから10年以上が経ち、働き方は少しずつ変わってきています。
それでも、子育てと仕事を両立する難しさは、今も大きくは変わっていないように感じます。
一方で、私はフルリモート勤務も経験しました。
フルリモートは、ろう者にとって非常に相性の良い働き方だと思っています。
全員がパソコンを持ち、オンライン会議を行い、字幕やチャットを活用する。
業務のレクチャーも画面共有をしながら進めることができます。
もちろん慣れは必要ですが、ろう者が力を発揮しやすい環境だと感じました。
また、対人関係によるストレスが比較的少ないことも、大きなメリットだと思います。
今の私は、子育てもひと段落し、ようやく生活が落ち着いてきました。
実際に出社して働いてみると、「意外と出社も平気なんだ」と自分でも驚いています。思い返せば、子育ての方が毎日イレギュラーの連続でした(笑)。それに比べると、仕事は落ち着いて取り組める時間でもあります。
今の会社にもとても満足していて、転職活動を頑張って本当に良かったと思っています。
ここには書ききれないほど、転職活動での経験や、子育て、そして女性として働いてきた経験があります。
そのすべてが、今では私にとって大切な財産です。そして何より嬉しいのは、その経験を、同じろうである子どもたちにも伝えられることです。
「こんな働き方もあるよ。」「こんな乗り越え方もあるよ。」など、自分が歩んできた経験を共有できることは、親としても、一人のろう者としても、とても幸せなことだと感じています。
最後まで読んでくださり、本当にありがとうございました。
この転職シリーズが、これから新しい一歩を踏み出そうとしている誰かの背中を、少しでも押すことができたら嬉しいです。
