地元・八王子愛が強いろう者が南米料理を営む店

スノマナ

こんにちは。スノマナです!

ろう者が営む飲食店が少しずつ増えてきましたね。
そんな中、都心に近い場所にありながら、豊かな自然環境に守られた高尾山がある八王子に、南米料理を極めるろう者がいます。
この記事では、店主を訪ねてお店についてインタビューをしました。どのような人物でしょうか?
では、行ってみましょう!

京王線北野駅を降りて徒歩10分、JR八王子駅からはバスで約15分に

八王子総合卸売センターがあります。

普段は市場なので、日中は賑やかですが、夕方以降は大半のお店は閉まっています。

その奥まで歩くと、

ほんのり照らす看板と髭がついてる太陽のロゴが貼ってあります。

Sunrice Cocina〜サンライス コシーナ〜」と読みます。

左に曲がると、レトロな緑のタイルが壁面に貼られており、温かみのあるランプが照らす「SEAFOOD MARKET」という店があります。

お店の名前が違うから間違えた!?と勘違いするかもしれませんが、開業するまでは@sea_food.marketさんに間借りして提供しているとのことです。

新鮮な魚を使ったグリルサンドが評判のカフェで、「店を開きたいけど、良い物件が見つからない」と縁のある若きオーナーに相談したところ、見つかるまでこの店で夜のみやっていいよ!とのことでした。

私もオーナーさんとお会いしましたが、気さくな方で、手話と指文字で名前を教えてもらいました。

店内は12名ほど入ることのできる、リラックスできる空間です。

入ると、長い髭が特徴で、ダンディーな店主さんが現れました。

名前は清原和博さん、キヨさんと呼ばれているそうです。

両耳に小型補聴器を装着しています。

コミュニケーション方法は口話・手話です。

八王子育ちで、誰よりも八王子愛が熱く、両腕の入れ墨は八王子に対しての愛を込められています。

スノマナ

カウンターには店のコンセプトのボードが置かれています。
野菜が苦手な人でも食べられるように工夫されているとのことです。

現在、3種類あり、後ほど5種類を増やし、8種類になるそうです。
なぜ8種類?

キヨさん

八王子の「八」に合わせたいから笑

スノマナ

なるほど!笑

早速2つ注文しました!
注文が入ると、テキパキと料理が始まりました。
キヨさんは、国内の南米レストラン・メキシカンレストランでの経験があるので、手際良く調理しています。

※右の看板の珈琲は@sea_food.marketさんが担当しており、夜は提供しておりません。

アヒ・デ・ガジーナ

 1300 円(税込)

スノマナ

唐辛子=赤のイメージでしたが、黄色もあるとは知りませんでした!
チキンと牛乳と…クラッカー!?
どんな味だろう〜?シチューに似てるのかな?

スノマナ

スプーンですくって口に入れてみると・・
まろやかで口滑りが良く、辛いのが苦手な私でもほんのりのピリッとした辛さ丁度よく、クセになりそうな味でした!!
美味しかったので、無我夢中でスプーンを口に運びました。
子連れの場合、辛くないようにお子さんの口に合わせた味に調整してもらえます。
子どもに対して優しく、気配りができるキヨさん、惚れます〜〜〜!!

アロス・コン・チミチュリ

 1300円(税込)

スノマナ

こちらの料理には黄赤パプリカ、ピーマン、パセリ、秘伝豆、トマト、玉ねぎ、レタス、コーンなど刻まれた野菜たちがたっぷり乗ってます!
本来はナッツも含まれるのですが、私は苦手なので、取り除いてもらえました。
苦手なもの・アレルギーをお伝えすれば、除いてくださるので安心してください。

スノマナ

なんと真ん中には、ご飯が隠れていました!
満遍なく野菜と混ぜていきます。
食べると、タレと野菜がご飯の粒に包まれてサッパリした味で、女性に嬉しい料理です。
ちなみに、私の息子(1歳10ヶ月)はトマトが好きではないのですが、この料理にあるトマトは食べてくれました!

キヨさん

おぉ!嬉しいです!野菜が嫌いな3歳の子どもを持つ友人がいて、その野菜を入れた瓶をあげたら、美味しいみたいでパクパク食べて平らげたらしい笑

へぇ〜!親としても野菜を食べてもらいたいから、勉強になります。

キヨさんにインタビューをしました

できるだけ有機野菜にこだわって体に良い料理を提供していきたいというキヨさんの想い

キヨさんのパートナーは体への負担や刺激が少なく、自然や体にやさしい、安全性が高い無農薬を意識されて生活していたそうです。

パートナーと出会うまで添加物に対してあまり意識していなかったとのことですが、

パートナーの影響で、無農薬の魅力に気づくようになり、添加物の名前を覚えてスーパーや野菜を取り寄せる時に必ずチェックし、料理として提供しています。

また、@sea_food.marketさんのオーナーさんとのパイプのおかげで、色々な人と繋がりで無農薬にこだわっている店の方と情報交換したり、沢山勉強になることが増えたそうです。

なぜ料理の道に歩んだのか、キヨさんの生い立ちを伺いました。

1987年1月14日誕生

東京・八王子生まれの4人家族の次男。自分含め、家族全員ろう者です。

1才半の時に中耳炎などの合併症による感音性難聴を発症。

6-12歳

軽度の聴覚の為、地域の小学校に通ったが、耳による差別を受けました。

教科書など破かれたり捨てられたりした事もありました。何よりも1番辛かったいじめは補聴器を壊されたり隠されたりしたことです。一時は自殺も考えたこともありましたが、負けず嫌いな所もあり、負けずに頑張って学校に通いました。

13-18歳

中学校も同じ地域の学校に通い、高校は都立の学校に進学し、少しずつ友達が増えました。

20-24歳

日野自動車工場で勤務。

25-29歳

渋谷のジャーナルスタンダードで勤務。

これまで大手企業のもとで働いてきましたが、**” 障害者枠 “**ということもあり、仮に実力があったとしても会社から評価する優先順位が下になってしまう現状が嫌になりました。

手に職を!と30歳を手前に色々悩みました。

ある日、BSで海外の料理番組が料理の道に歩むきっかけになる。

普段、料理番組を見る事はあまりなかったそうです。

この日の番組の特集はスペイン系のシェフでしたが、髪を綺麗にセットし、ヒゲもおしゃれに巻き、首から手首にかけて広範囲のタトゥーをしていました。

そのシェフの料理をしている姿やホテルのレストランで見るような、綺麗に盛りつけられた料理を見て「かっこいい!」と一瞬にして心を奪われました。

そこから少しずつ料理に興味を持ち始めた。

また、八王子市に聴覚障害者が勤務している喫茶店があり、父が会長で母が代表兼店長でした。 幼少期から母のお手伝いとして料理をする機会があったことを懐かしく思い出し、意を決意して29歳の時に飲食の道に足を踏み入れました。

友人からの反対を押し切って挑んでみたものの、料理の世界は実力世界です。

30歳手前ということもあり、年下からの暴言や扱いのひどさは日常茶飯事でした。 殴り合いとまではなりませんが、胸ぐらを掴まれたこともあり…本当は良くないのですが、それも料理の世界ではよく聞く話です。

しかし、もう後には引けない年齢になり、幼少期のいじめを経験しているので多少、我慢しながら悔しい思いをする毎日でした。

都内の南米料理のシェフとして約4年間働き、料理人としてのスキルと心得を学ぶ。

20代の頃に知り合ったクラブ仲間の誘いで、都内の南米料理のシェフとして学びました。今の自分を作り上げたといっても過言ではないほどとても厳しく、とても優しく、とても強いお店でした。

メキシコ料理屋も1年半ほど経験を重ねる。

料理の味からオペレーションまで自分が指示するほどの位置に立ちました。 大手企業では引き出せなかった自分の力を料理によって発見できました。

勤めていたメキシコ料理屋オーナーの後押しで、36歳を機に独立の道を進むべく退職。

現在はまだまだ間借りの身ですが、生まれ育った八王子に自分のお店を持つ夢を持ちながら誰もが出せない味を日々研究しております。

まとめ

今のキヨさんの姿に至るまで、色々なことに苦労をしてきたと思います。

キヨさんが言うには、

ちなみに8個上の兄も地域の小学校に通っていましたが、授業についていけなくなったのと、先生も親身になってくれなくなったため、やむ得ず、小5に日本聾話学校に転校しました。

高校は再び、健聴者の学校に通い、現在は健聴者の奥さんと結婚して幸せな家庭を築いています。

親はそんな兄の状況を知っていながらも、私自身の意思を尊重し、地域の学校に進学させてもらえました。 今思えば、「地域の学校に進学させる」ということは親にとって相当な覚悟だったと思います。

「かわいい子には旅させよ」の言葉に色んな意味が込められていますが、ある意味、試練として行かせてくれたのかなと思います。 両親は病死してしまいましたが、産んでくれてありがとうを言いたいのと、お店を持つ夢を天国から温かく見守ってくれると嬉しいです。

と、強い意志を感じるメッセージをいただきました。

ろう児を地域の学校もしくは聾学校に行かせることに対して正解はありません。

キヨさんの言うとおり、メリットとデメリットがありますので、親の気持ちより子どもの気持ちを尊重して選択肢を判断して欲しいと思います。

メキシコ料理屋オーナーさんがキヨさんを「一人の人間」として、能力を引き出してお店を始めたことはとても嬉しいですね!

最近、ろう者で飲食店を出店することが少しずつ増えてきました。

コミュニケーションの壁を突き破る工夫をする店だったり、

お店で働くスタッフはほぼろう者だったり、

ろう者一人でキッチンカーで出店したり、

マーケットでお菓子を出店したりなど。

ろう者・難聴者の飲食店の世界がだんだん拡大してきたと感じます。

ろう者・難聴の子どもたちの将来の選択肢&ロールモデルが増えてとても嬉しいですね!

遠方から訪れる人もいるようです♡

南米料理に興味はある方は是非訪れてみてくださいね!

住所

〒192-0906 東京都八王子市北野町584−30内

アクセス

京王線北野駅 徒歩10分

JR八王子駅 北口5番バス乗り場から、京王バス八王子車庫行き、終点八王子車庫下車徒歩1分

ナビ

https://maps.app.goo.gl/FGHaoYHAQqMzAA2V8

営業時間

毎週月火水

18:00~22:00(L.O.21:30)

いずれは日曜日も営業する予定とのことです。

Instagram

@sunrice_cocina

最新情報をご覧いただけます。

備考

駐車場 100台ほど停められます(無料)

Amazonのアソシエイトとして、当サイトは適格販売により収入を得ています。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!

この記事を書いた人

初めまして!
スノマナと申します。
1997年千葉県生まれ、ろう者、デザイナー4年目。
デフファミリー3人家族。ろう者視線の育児漫画をSNSに投稿しています。
趣味は、美味しいものを食べる&作る、絵を描くこと。この2点はずっとブレてません。
最近は、ものを増やさないミニマリストを目指してます。