中等度難聴ライターのナツです!
《これまで書いてきたこと》
ここからテーマをガラッと変えて、育児について。
中等度難聴であることで、育児の場面で大変だったことや日々試行錯誤していることについて綴っていきます!
登場人物
私(ナツ):
生まれつき感音性中等度難聴(両耳約50dB)。
補聴器は家ではつけないが、家族以外の人と話す必要のある外出時はつける。
日本語対応手話が少しできる。
夫:聴こえる
子:聴こえる
まずは、子の出産時のことを振り返ってみます。
難聴であることを伝え続ける
妊婦検診のたびに、医師、看護師、受付スタッフの方々にこう伝えていました。

耳がきこえにくいので、マスクを外してもらえますか

難聴なので、大きめの声でお願いします
難聴者は見た目だけではわかりにくいし、日々大勢の患者と接する病院の方々が一人ひとりのニーズを把握するのは大変です。
だからその度に自ら説明します。
本音を言えば、「難聴だって言ったのに」「どうして共有してくれていないの……」
と思うときもありますが、お互い人間です。人間は忘れます。何度でも伝えることが大事です!
数週間ごとに訪れるので、だんだんと病院の方々は私が難聴であることを認識してくれるようになり
- 呼び出しアナウンスで反応しないと待合室に呼びに来てくれたり
- そもそもアナウンスしないで待合室に呼びに来てくれたり
- 診察室に入るとマスクを外して待っていてくれたり
- 会計待ちしていると、受付番号のアナウンスとともに指で「」と示してくれたり。
いろいろと配慮していただきました。本当にありがたかったです。
過度に期待するのはよくないですが、
私が難聴だとわかってくれている、という場所はとても安心感がありました。
もしも里帰り出産などのため途中で転院していたら、こうした関係性もまた一から。
そう考えると、妊婦検診から出産まで同じ病院に通えてよかったです。
診察中は文字起こしアプリを使用することも考えていたのですが
静かな診察室での一対一だったので、補聴器をつけて、相手にマスクを外してもらい、きき取れなかったらきき返すことで、何とかやりとりできたかなと思います。
難聴であることを忘れないでくれると嬉しいけれど、何度でも説明します。
コロナ禍による変化は、難聴者にとっては追い風になることも
出産が近づくと、病院が作成した入院や出産についての説明動画を事前に視聴しておくように言われました。
コロナ禍を経て、説明会ではなく各自で動画を視聴する方法になっていたようでした。
動画は字幕つきだったのでしっかり理解することができました!
一対多の説明会だったら、とてもきき取れなかっただろうなと思います。
その場合は、文字起こしアプリなどの情報保障が必要だったと思いますが、情報保障をお願いしたり、事前に準備したりするのも根気がいるので、私にとっては動画視聴という方法でよかったと感じています。
一方で、雑談や情報交換など、その場だからこそ生まれるコミュニケーションは、やはり対面ならではだと思います。
大事なことは、口頭よりも文字で読みたい。
陣痛ピーク、補聴器テイクオフ
とある夜中に陣痛が始まり、朝一病院へ。そのまま入院となりました。
病院の方々に私が難聴であることを覚えてもらって安心していましたが
分娩フロアの助産師・看護師さんは、妊婦検診とは全く違うメンバーでした。
ちょっと心細くなりましたが、最初に対応してくれた助産師さんに「難聴で耳がきこえにくい」と伝えると、すぐに共有してくれたようで、みんながマスクを外して話してくれました。
補聴器はずっとつけていました。
夕方になっても産まれる気配がなく、運動してお産を促さねば! と廊下の端から端まで何往復も歩き、通りかかった医師をぎょっとさせたのは私のことです。
夜になって陣痛がピークに。痛くて汗だく。
補聴器が汗で壊れても嫌だし、ドタバタしていてなくしてしまっても嫌だしと思い
助産師さんに「外します!」と宣言して外しました。
助産師さんは、それまで以上に顔を見合わせて口をはっきり動かして話してくれました。
深夜、いよいよ分娩台へ。
夫が召喚されました。
仰向けになった私の頭側に夫が立ちます。足側にいる助産師さんの顔は頭を起こさないと見えないので、何か言われてもわからない可能性が高い。
それで夫に、助産師さんの言っていることを伝えてほしいとお願いしました。
夫は、私の耳元で「今だいけ!」「ストップ!」といきむタイミングを教えてくれました。
ぐおおおおおおおおおお!
顔を歪ませ渾身の力をふり絞っていると、夫が私の肩をたたき
「ストップ! もういきまないでいい! 産まれたよ!!!」と言いました。
いっぱいいっぱいで、やはり助産師さんの声は全くきこえていませんでした。
初めての場所、初めての経験で見通しがもてない上に
その場で会話から得られる情報が少ない、状況がすぐにわからないというのは心許ないことです。
だから夫に立ち会ってもらって本当によかったです。
医師、助産師、看護師のみなさん、そして夫と力を合わせ、無事に乗り越えることができた出産でした。
もしも夫の立ち会いがなければ補聴器を外さなかったかもしれないし、いきむタイミングを、声かけではなく視覚的・触覚的な合図で伝えてもらっていたかもしれない。
次回は、新生児との暮らしで大変だったことを書きます。ぜひまた読んでくださると嬉しいです!

