初めまして、バリアフリー日本語字幕制作者の みかん です。
バリアフリー日本語字幕ライター(以下、字幕ライター)として、映画やアニメ、ドラマなどの映像作品から舞台など幅広く活動しています。
字幕の他に、音声ガイドディスクライバー1としてもガイド原稿を執筆しております。
バリアフリー日本語字幕に興味を持ったきっかけ
十年くらい前に、ろう者の友人と初めて字幕付きの映画を観たときに、登場人物の声のトーンや声(音)の強弱といった微妙なニュアンスや、会話の間に生まれる”間”の雰囲気など、耳から入ってくる情報と字幕で表示される情報には差があることがあまりにも衝撃的でした。
この事がきっかけで、すべての人が情報差なく楽しめるようにしたいと思い、字幕界の門を叩きました。
字幕を通じて、より多くの人がエンターテインメントを楽しむことができることを目指しています。
字幕制作は、とても多くの作業と時間を費やします。聞き起こした文字を全て一つ一つ辞書で調べたり、制作会社への確認や、時代背景やその国や地域の歴史的背景、なぜここでこの音が使われているのか、この場面での音の情報の取捨選択や誰が主として話をリードしているのか。台本などをそのままコピー&ペーストしているようによく思われますが、台本をいただけるようになったのはここ最近のことです。これまではいただいた素材から全て聞き起こし作業を行なっていました。
ドキュメンタリーなどは台本がないため、聞き起こしからのスタートとなります。
その他にも、作品の持つメッセージ性を理解できるかの読解力・解釈力。
作品に沿った発想や、それを提案できるプレゼン力などあらゆる”力”が必要です。
恩師の言葉で、『字幕も作品の1つの表現であり、作品とユーザーをつなぐコネクタ』が私の目標です。
字幕の種類
現在私はポスプロ2にて、映画やドラマ、アニメ、舞台映像などの字幕制作を担当しています。
最近では、4月に「改正障害者差別解消法」が施行され、事業者による合理的配慮の提供が義務となり、いろんなところで字幕表示を見かけることが多くなりました。
ところでみなさんは、【字幕】にはたくさん種類があるのをご存知でしょうか?
大きく分類すると、常に画面上に表示されているオープン・キャプションと、字幕を表示または非表示に切り替えができるクローズド・キャプションの2種類です。
さらに細かく分けると、翻訳字幕、吹替字幕(アテレコ台本など)、強制字幕、多言語字幕、放送字幕、リアルタイム字幕(生字幕)、バリアフリー字幕、ぴったり字幕、etc…
視聴者やコンテンツなどによって字幕の種類は異なり、各字幕の持つ情報も大きく異なります。
例えばバリアフリー日本語字幕では、会話の内容から発話者、効果音や音楽情報など聞き取れるものはほぼ全て同じ言語(日本語なら日本語)で文字化します。
翻訳字幕では、映像上の外国語の会話などを別の言語(例えば、英語から日本語など)に翻訳し文字化します。
みなさんがいつも観ている字幕は、どんな字幕で、どんな風に違うのか気にしてみると面白いかも知れませんよ。
さぁ〜て、次回は?
初めてバリアフリー日本語字幕を制作したときに苦労したことや、だからこそ新たに発見したこと、嬉しかったことをお伝えします。
バリアフリー日本語字幕の魅力や興味深いと思っていただけるようなトピックをお届けできたらと思っています。
みなさんと一緒にバリアフリー字幕の世界を広げていけたら嬉しいです。
どうぞよろしくお願いします!
ご意見やご質問があれば、ぜひお聞かせください。
読んでいただき、ありがとうございました。