自分の子供が難聴だと分かった時、親は何を思ったか?後編

こちらの記事は後編になります。中学校からの人間関係、受験や進路の内容を中心にお話ししています。前編を読んでない方は、先に前編から読んでみてください!

目次

中学校に上がって

中学校はそのまま小学校と同じ学区に進んだ。

風吹

中学校の頃からは問題はあった?

何かあってもあんまり言ってこなかったから。友達と喧嘩したりとかはあった。

風吹

20万円くらいする補聴器を喧嘩でなくすこともあったから。

無くした理由を聞いても言わなかった。

風吹

イラッとしてる時に雪を投げられて、松ぼっくりを投げ返したら、それがクリティカルヒットした。それに相手がキレて喧嘩になって、雪の山の中に飛んでいってどっかいった。学校側はあんまり対応してくれなかったよね。学校側が真摯に対応してくれたのは、小学校の転校の時ぐらいかな。

うんうん。

風吹

中学校で大変だったことは、英語のリスニングかな。高校は内申点が大学受験にあまり関係ないじゃん。でも、高校受験は内申点が重要。学校の定期テストでは、英語のリスニングの代替問題は用意してもらえなかった。別室でテストを受けるという形になったけど、結局日本語の歌を聞いて耳コピできないぐらいの聞こえ。口の動きが読み取れないと聞き取れないから。別室受験はあんまり意味がなかった。

学校の先生にも代替問題を用意してくれないか相談をしたけれど、先生からは「何のためにするかわからない」と言われた。

風吹

そこら辺は、まだ理解が無いというか、普通に会話できてるから、英語が聞き取れないのは、英語脳がないからって言われたからね。そういう誤解というか、中途半端にきこえるからこその誤解は今まで生活していた中でたくさん感じたかな。

小中高での性格の変化は?

風吹

小中高で性格の変化とか気になったところはあった?

うーん、無謀ではないけど、親からしたら自分の実力以上の学校を受験するって言い出した時は不安になった。

風吹

それは小さい時から?

小さい時はそうでもなかったけど、中学生の高校受験のあたりから。

風吹

この時は市内で1番頭のいい高校を受けると言っていたよね。3番目の学校でも模試で出た合格率が2%ぐらいの厳しい成績で、半年間だけ塾に通って猛勉強した。結局2番目に頭のいい高校を受けたんだけど、何とか合格した。

うん、言い出したら聞かないのはわかりきっていたから、好きなようにやらせていた。

風吹

その時から一度言い出したら聞かないタイプだった?

そうだけど、最終的には「やる」と言ったら、最後までこなしていた。

風吹

負けず嫌いだよね。負けん気は強かったよね?

うん、そうだね。

風吹

嫌がらせを受けても言い返していて、凹むとかではなく何クソ精神だったから、そういうところに性格が表れていた。大学受験も成績は良くなかったけど…

そうそう、最初に筑波大学に志望校を決めた時に不安になった。「えっ、その成績で?」って笑

風吹

違う違う。初めはアメリカに行きたいと言ってたよ。スポーツトレーナーになりたくて、アメリカのアスレティックトレーナーの資格を取得したいってなったけど、英語が壊滅的にできなかった。その時に、東京オリンピックの開催が決まって、日本の体育大学の中でも、総合的に体育が学べるところがいいんじゃないかとなった。国立大学となったら筑波しかなかったから、そこを受験して、結果は見事に撃沈したんだけど、受験に落ちることは想像ついてた?

現役合格は難しいかなと思っていた。

風吹

浪人が決まった時、どんな感じだったっけ?

泣いてた。笑 後期日程で別の国立大学を受験する道もあったけど、「やっぱり筑波大学に行きたい」と言って、受験すらしなかった。

風吹

えー、泣いてたっけ?笑 記憶ないや。浪人の時も3つの選択肢があったよね。1つは東京の体育大学専門の予備校に行くこと、2つ目は札幌の予備校に行くこと、3つ目は予備校に通わないで独学で頑張ることだったと思うけど、どういう感じで話したっけ?

自分と旦那は東京の体育大学専門の予備校がいいんじゃないかと言っていたけど、風吹が自分で調べて自宅浪人でやると言った。

風吹

その時どう思ったの?

やっぱり不安だった。

風吹

お父さんはもともとかなり勉強してたし、浪人経験者でもあるから、浪人の辛さを知っていて、そういう面での不安はあったと思うんだよね。実際に自宅浪人をやってみて、浪人中の家庭環境は良くなかったじゃん。お父さんとぶつかってたけど、それはどう思っていたの?

合格して、早く家を出て行ったほうがいいと思っていた。勉強も家ではなく、デパートや図書館でやっていて、そこに毎日通っていた。

風吹

友達とも月1回会えばいいほう。1日8時間は絶対勉強すると決めて、家に帰って、実技試験のために走りに行き、筋トレや食事制限もした。それをまるっと1年。結構忍耐力がついたんじゃないかな。やる気どうこうじゃなくて、行けばやらなければいけない環境があるから、行くことを目標にしていた。友達との連絡やSNSも断って、勉強に専念。で、無事に大学に合格。

大学進学

風吹

大学で部活に入ろうとしていたら、反対していたよね?その理由は?

お兄ちゃんは大学に入ったらサッカーをやめたというのもあって、それが普通だと思っていたし、プロになる訳でもないのにと思ってた。

風吹

で、結局自分の意思で大学でサッカーを続けて、デフサッカーの日本代表に選ばれたと話した時、デフサッカーの存在自体は知ってた?

知っていたけど、日本代表候補に選ばれたということをいきなり伝えられて、話が結び付かなかった。いつもいきなりでびっくりする。

風吹

まぁ、確かに事後報告が多かったよね。笑 だって、決まってから言えば後戻りはできないじゃん。その時はびっくりしたと思うけど、韓国の国際大会には来てたよね。

そうそう。韓国に行って応援した。

風吹

クラウドファンディングをやるとか、メルカリにサポートしてもらうってなった時はどうだったの?

クラウドファンディングは知らなかったから、怪しいものではないかと思った。びっくりすることばかりだった。

風吹

うん、昔から行動力だけはあったんだよね。親がいない間に勝手に進めるタイプだった。やっぱり、大学で北海道を出て、実家が遠いから、物理的に直接話ができないし、電話だけだと伝わり切らない部分もあったと思う。最初はメルカリは大学までで、卒業後は一般就職で考えていると伝えていたけど、W杯が終わって「やっぱり卒業後はメルカリにするわ」と言ったときはどういう感じだった?

父親が心配していた。選手じゃなくなったら、その後どうするのかを心配していた。

風吹

今までを振り返ってみて、よかったなと思うことはある?

自分で決断させることかな。どうしても親が決めると本人が後悔することがあると思う。自分で決めたことなら失敗しても自分で責任を持てる。

風吹

なるほど。子供がやりたいことをやらせてみるのがいいのかな。壁にぶつかったらどうしようとか、障害があるからこそぶつかる壁もあるけど、それに対しての心配は?

心配はあったよ。職場に入ってもやっていけるのか心配だった。

風吹

心配はもちろんあるけど、やってみないとわからないよね。バランスは難しいけれど。

もう少し生活での配慮は必要だったと思う。

風吹

子育てで気をつけていたことはある?

障害があるから可哀想って言う人もいるから、それだけは思わないようにしてた。親が可哀想に思っていたら、本当にただの可哀想な子になってしまうから、それだけは思わないようにしてた。

風吹

なるほど。最初はどうしても、障害がある子を産んだことで自分を責めてしまうことがあるかもしれないけど、それがかえって子供にも伝わってしまうと思うんだよね。でも、それがいっさい伝わらなかったし、どちらかというと、どのように解決していくかという、ポジティブな方向に家庭全体で向かっていて、それが自分にも染み付いていたと、今振り返ってみて思う。

「最後に母親から伝えたいこと」

風吹

最後に聴覚障害がある子どもを持つ親御さんに言いたいことはある?

心配は心配だけど、ネガティヴな方向で考えていても仕方ないし、前向きに考えることで子供にも伝わる。あとは色々なところに連れて行って、色々な子と関わらせることはすごく大事。そういう中で子どもをよくみて、その子に合ったものを見極めて、今後のことを決めていくといいと思う。

風吹

確かに。色々な選択肢があった中で決めたことは納得もいくと思う。

失敗するかもしれないけど、それを恐れていては子供は納得いかない。

風吹

いずれ親離れする時に、違うコミュニティに行かなければならない。ずっと聴覚障害者同士だけで社会を生きていくことは難しい。だから、小さい時から色々な人に関わったり、広い世界を見せることは大事だと思う。

最後に

自分が社会人になって、母親と一緒に昔を振り返ってみて感じたことは、母親の価値観が自分にも強く現れているということです。自分がこんなにも伸び伸びと自由にやりたいことをやっているのは、母親が辛抱強く、良い意味で放っておいてくれたからだと思います。もちろん、それが絶対に正しい訳ではありませんが、自分には合っていました。たとえ失敗しようとも色々な経験を積ませて、後々振り返ってみたらその失敗が必要な経験だったなんてことはごまんとあります。大事なのは、その選択に本人の意思があること。責任を持つこと。そして、選んだ道が間違いではなく正解にするためには、今できることに目を向けること。だと思います。

少しでも、参考にしてもらえたら嬉しいです!

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