勇気を出して、違う世界へ飛び込んでみたら、視野が広がった(後編)

※前編の続きになります。
前編を読んでいない方は下記のURLからご覧いただけます。
勇気を出して、違う世界へ飛び込んでみたら、視野が広がった(前編)

目次

同じ聴覚障害でも多様なグラデーションがあることに気づいた大学時代

そして、地元を離れ、関東の大学に進学することになりました。

私は初めて手話に触れるようになりました。私はこれまで手話に触れたことがありませんでした。入学式で、ろう者と出会ったことで、ろう者の方とコミュニケーションを取りたいという気持ちが生まれ、手話サークルに入りました。

手話サークルには、多様な聴覚障害者がいて、同じ聴覚障害でも、聴力レベルが異なったり、コミュニケーション手段が異なったりして、同じ聴覚障害でも多様なグラデーションがあるんだと初めて知りました。そこから、自分の視野がぐっと広がりました。

親の反対を押し切って海外留学へ

大学では、聴覚障害教育と支援体制を専門に学んでいました。ある授業で、ドイツは先進国の中でも、支援体制が整っていると聞き、私は「実際にドイツに行って体感したい!」と思い、ドイツ留学することを決めました。
まず親に相談したのですが、親は猛反対でした。

「何があったらどうするの!?」「聞こえないのに、どうやってコミュニケーションをとるの!?」と反対されました。

私は、親に「できない」と決めつけられたことがとても悔しくて、「自分が留学できることを証明してやるわ!」と、親の反対を押し切って、自分で奨学金をとって、ドイツに留学しました。
その姿を見た親は、「本当に留学できるんだね」と、自分のやりたいことに対して応援してくれるようになりました。

今思えば、当時は、周りに、海外留学経験のある難聴者がいなかったため、親も難聴者が海外に留学するイメージができず、心配のあまりから反対していたんだろうなと思います。

同世代の聴覚障害のある友達と聴覚障害児の親御さんとの交流

留学以外にも、聴覚障害児の親の会や難聴関連のイベントに参加していました。その親の会やイベントでは、自分の体験談を伝えたり、同世代の聴覚障害のある友達や聴覚障害児の親御さんとも交流したりしていました。

同世代の聴覚障害のある友達との会話では最近の流行や世間話をすることが多かったのですが、聴覚障害児の親御さんとの会話では、「小学生の時はどういった支援を受けていましたか?」「習い事は何をしていましたか?」など、親御さんの気になることについてお話していることが多かったです。

その時から「親御さんの不安や気になることを少しでも解消できるものってなにかないだろうか?」と考えるきっかけになっていました。

Bridge Heartを立ち上げたきっかけになったプロジェクト

社会人になり、私は、自分の経験から、聴覚障害児やその親御さんのお役に立てることがないかと考え続け、いろんなプロジェクトをやっていました。

その中の1つが、自分の中学・高校時代の経験から、「障がいがあることで希望を見出せない、不安を抱えている難聴の中高生に、選択肢を増やす機会を提供したい」という想いで始めた、障がいのある中高生の、 今と未来の架け橋になるメールレター「Bridge Letter」(https://100banch.com/projects/bridge-letter)でした。

Bridge Letterは、社会で活躍している聴覚障害者にインタビューし、そのインタビューをした内容をリーフレットにまとめ、そのリーフレットを聴覚障害のある中高生に配布していました。

そして、リーフレットを配布した後の中高生の感想を聞きたく、オンラインツール「Zoom」で、中高生と親御さんにヒアリングしていました。

ヒアリングしていく中で気づいたことは、中高生よりも親御さんの方がBridge Letterを読んでいることでした。そして、何よりも中高生よりも親御さんの方が、将来の不安を抱えていました。私は、Bridge Letterから、まずは親御さんの不安を少しでも解消していきたいと思い、Bridge Heartを立ち上げることになりました。

聴覚障害児の親御さんがつながるプラットフォーム「Bridge Heart」

私は、聴覚障害児の親御さんにヒアリングしていく中で、将来の不安と、周りに相談できる人がいないという孤独感を抱えている親御さんが多いことに気づき、聴覚障害児の親向けのプラットフォームを開発することにしました。

悩んでいる聴覚障害児の親御さんが、同世代の親御さんや先輩親御さんとつながることで、「1人じゃない」こと、そして、多様な将来の見通しがあることに気づくきっかけになってほしいという想いで取り組んでいます。

今、その開発費を集めるために、クラウドファンディングにチャレンジしています。
ぜひ、みなさまのお力をいただきたいです!

<クラファンページはこちらから>
https://camp-fire.jp/projects/view/747798

みなさまからいただいた支援をプラットフォーム開発に使わせていただき、
誰にも相談できない孤独感と将来の不安を抱えている親御さんにお届けしたいと思います。
そして、聴覚障害があるからこそ、多様な選択肢があることを、聴覚障害児の親御さんや聴覚障害児・者に限らず、聴覚障害について知らない人にも知ってもらうきっかけにしたいと思っています!

最後に

最後まで読んでいただきありがとうございます。
技術進歩によって暮らしや働き方、価値観、そして社会のありようも少しづつ変化している今、昔と比べて、聴覚障害者が生きやすい環境になっているものの、聴覚障害についてマイナスなイメージを持っている方がまだまだいらっしゃいます。
私は、引き続き、聴覚障害があるからこそ自分らしく生きていける社会になっていけるように、より多くの方に、聴覚障害の可能性を広めていきたいと思います!

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