考え方の癖って?自分の癖はどんな癖?
少し前はお正月だったはずが、あっという間に3月ですね。4月から進学や就職で新しい環境になる方も多いのではないでしょうか。
タイトルにある”考え方の癖”、普段考える機会は少ないかもしれませんが、自分の癖を知っておくと、なにか困ったときに役立つかもしれません。職場で起きそうな出来事を例に書いていきますので、ぜひ最後までお読みください。
同じできごとを体験しても受け取り方は人による
例えば、職場で自分なりにわかりやすい資料を作ったのに、上司によりによって「もっとわかりやすい資料を作ってね」と注意されたとします。
この時、みなさんはどんな気分になるでしょうか?以下に挙げる気持ちの中で、近いものはありますか?
Aさん「あぁ、また注意をされてしまった。私は仕事ができない……」 ⇒ 悲しみ
Bさん「この上司には、以前も注意された!何度やっても注意されるんだ!」 ⇒ 怒り
Cさん「細かいところまで確認してくれて助かるな。早く修正してしまおう」 ⇒ 安心
誰かの考え方や気分が良い・悪いということではなく、こんな風に同じできごとを体験しても、人によって気分は異なることがあります。
これは人によって「考え(認知)」が異なるためですが、考え方の癖には下記のようなものがあります。
1) 感情的きめつけ
証拠もないのにネガティブな結論を引き出しやすいこと 「○○に違いない」
例:取引先から一日連絡がない → 「嫌われた」と思いこむ
2)選択的注目(こころの色眼鏡)
良いこともたくさん起こっているのに,ささいなネガティブなことに注意が向く
3)過度の一般化 わずかな出来事から広範囲のことを結論づけてしまう
例:一つうまくいかないと、「自分は何一つ仕事が出来ない」と考える
4)拡大解釈と過小評価
自分がしてしまった失敗など、都合の悪いことは大きく,反対に良くできていることは小さく考える
5)自己非難(個人化)
本来自分に関係のない出来事まで自分のせいに考えたり、原因を必要以上に自分に関連づけて、自分を責める
6) “0か100か”思考(白黒思考・完璧主義)
白黒つけないと気がすまない、非効率なまで完璧を求める
例:取引は成立したのに、期待の値段ではなかった、と自分を責める
7)自分で実現してしまう予言
否定的な予測をして行動を制限し、その結果失敗する。 そうして、否定的な予測をますます信じ込むという悪循環。
例:「誰も声をかけてくれないだろう」と引っこみ思案になって、ますます声をかけてもらえなくなる
※「精神療法の実施方法と有効性に関する研究」うつ病の認知療法・認知行動療法 (患者さんのための資料)より抜粋
どうでしょうか?自分に当てはまる考え方の癖はあったでしょうか。
私もいくつか当てはまるものがあり、1番の感情的決めつけは例文と全く同じことを体験しています。すごく辛い気持ちになって、「仕事先からメールの返事がない。嫌われたのかな?!」と友達に話したところ、「昨日は土曜で、今日は日曜。会社休みだよ」と、呆れたように説明されたのですが、言われるまで全く気づいていませんでした。
聴覚障害があると3番の過度の一般化のように、「職場で聞き返したら、嫌な顔をされた。他の人にも嫌な顔をされるに違いない」と考えてしまう。周囲の状況が分かりにくいため、5番の自己非難のように、「隣の席の方が不機嫌なのは、自分がなにか聞き逃したせいかも……」と考えてしまうなどが、あるかもしれませんね。
私は『今日はうまくいかない日だった。明日は大丈夫』や『そういう人もいるけど、みんながそうじゃない』と考えるようにしていますが、毎回うまく考え方を切り替えられているわけではないです。なんだかどんよりした気分が続くときも、もちろんあります。
自分の考え方の癖とどう付き合えば良い?
こうした考え方の癖、無理になくそうとする必要はありません。以前ストレスケアの話を書いた際に、『ストレスをなくすことを頑張るのではなく、ストレスに振り回されず、自分らしくいられることが大事』と書きましたが、考え方の癖も似ています。
例えば、こういった癖があるから、慎重に確認を行い、同じ間違いを繰り返さずに仕事ができるのかもしれません。また、自分を過小評価する癖があるからこそ、一生懸命仕事を行い高く評価されるなど、自分の長所に繋がっていることもあると思います。
注意して欲しいのは、疲労や忙しい日が続くことなどがきっかけで、癖が強く・大きくなってしまった時です。以前の間違いを思い出して、落ち込んだり、怖くなって仕事ができない。会社に貢献したいと考えすぎ、一度にたくさんのことをしようとして疲弊してしまう、周りの人に対して「もっとちゃんとやってよ!!」など、腹を立てるような状態になることです。
新年度、新しい生活環境の中で、「なんだか、ネガティブな気持ちが続いてるかも」「最近怒りっぽいかも」など感じたら、もしかしたら考え方の癖が強く・大きくなっているのかもしれません。そういう時は、事実を客観的に振り返り、考え方の癖に振り回されていないか見直してみてください。
自分ひとりですることが難しい時は、私の行ったように友達や信頼できる人と話してみるのも良いと思います。もちろん、考えてみても自分の考え方の癖が原因でない場合は、上司などへ相談して原因を取り除くようにしてくださいね。
おわりに
私はいくつか仕事を行っており、求職者の履歴書や職務経歴書のアドバイスも行っていますが、自己アピールが苦手な方がたくさんいます。十数名の部下をかなり丁寧に指導していたのに、“完璧にはできていなかったから”という理由で、「部下の指導をしていました」としか書かない方や、会社から表彰されるような働きをしていたのに、“周りの方が良い方々だったから”と記入しないような方もいます。
そんな中で、話をしていくうちに考え方の癖が緩み、「自分が頑張った結果なんだ」「自分は前職でたくさんのことをした。次の会社でも、きっと同じように活躍できる」と思い至った時の、目の輝きというか、フワッと明るくなった表情を見るのが大好きです。
この記事がなにかの気づきになり、新年度を楽しくスタートできる方がいらっしゃったら幸いです。
参考資料