考え方を増やし、ストレスに対処する ~はじめての認知行動療法1~

考え方を増やし、ストレスに対処する ~はじめての認知行動療法①~
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はじめに

進学や就職、人事異動の時期ですがお元気でしょうか。私は最近転職をして新しい職場となりましたが、緊張し過ぎて“文房具はどこにあるのか”さえ質問できない日々を過ごしていました。今は少し聞けるようになっていますが、職場のルールって本当に様々で、聞こえない・聞こえにくい分そのルールを読み取るのが難しいなと改めて思います。

さて、一年程前に書いた「考え方の癖を知って、新年度を楽しくスタートしよう! 」ですが、自分の癖はどんなものがあったでしょうか。

“考え方の癖をなくしましょう。取り除きましょう”ではなく、①自分の癖を理解すること、②癖が強く・大きくなった時には客観的に事実を振り返ったり、信頼できる方へ相談してみてくださいとお伝えしましたが、今回ご紹介する「認知行動療法」はこの続きになります。続けていくことで自分の考え方の癖をより理解でき、今までと少し違う考え方ができて気持ちが楽になるのでぜひ取り入れてみてください。

私たちの気持ちは頭に浮かんだ「考え」に影響される

認知行動療法は下の図のように、できごとー自動思考(考え)ー感情ー行動の相互関係に注目した方法です。

「考え方の癖を知って、新年度を楽しくスタートしよう! 」で書きましたが、例えば上司から注意されたときに、“私は仕事ができない”と考えて悲しい気持ちになる人もいれば、“細かいところまで確認してくれる”と安心する人もいます。

この時の頭の中で考えていることを「自動思考」と呼びます。この自動思考を「適応的思考」と呼ばれる、自分にとってしんどくない考え方に変えていくのが認知行動療法です。こういう風に書くと、自動思考は悪いもののように感じる方もいると思いますが、自動思考は悪いものだ。変えるべきものだと否定しないで欲しいです。

どういうことかというと、「悪いから、ダメだから変える」のではなく、「より良くするために変える」と考えた方が、胸がホッとするというか、安心しませんか?

私はご相談を受けて認知行動療法を行う時も、他の方法を行う時も“今の自分はダメだと否定しないでください。より良くするために取り組んでみましょう”と伝えるようにしています。みんな、今まで頑張ってやってきてるんです。今の自分を否定せず、なりたい自分に近づくために、こういった方法を使えたらより良いと思います。

コラム法について

ここからは具体的な方法についてですが、急に「自動思考ではなく、適応的思考をしましょう!」と言われても、どうしたら良いの戸惑いますよね。そういった時、次のコラム法を使って、考えを整理していくことが役立ちます。

コラム法の1つ目の欄は「できごと」です。不安や辛い、心配など嫌な気持ちになった、ストレスを感じた時の具体的なできごとを書きます。書く時に注意していただき点は3つあります。

  • できるだけ具体的に(情景がありありとうかぶくらい)
  • 特定の時間(one slice of time)
  • 5W1H(誰と、どこで、なにを、なぜ、どのように)

似たようなできごとを繰り返し体験している方もいらっしゃると思いますが、そのできごとをまとめてしまうのではなく、ひとつのできごとを取り上げてください。

その次は「気分」です。気分は“一言で表現できるもの”を記入します。例えば「相手に対して腹が立った」ではなく、「怒り」と一言で表現します。複数の気分があるときは、それぞれを記入してください。そして、気分のレベルを0~100%で記入します。小さい不安なら30%、とても大きな不安なら100%という具合です。ピッタリくる気分が表現しにくい場合は、下の図も参考にしてください。

次に3つ目の欄、「自動思考」です。できごとが起こった時に、頭の中で考えていたことを書きます。頭の中に浮かんだ考え・イメージ・記憶、自分に対して考えたのか、誰か他の人のことを考えたのか、将来について考えたのかを探すとか書きやすいですが、普段は無意識に行っているので慣れるまで少し時間がかかるかもしれません。

自動思考を書く時のポイントはもう一つあり、「疑問形ではなく、言い切りで書くこと」です。例えば、「〇〇さんは私が嫌いなんじゃないか?」という疑問形ではなく、「〇〇さんは私が嫌いだ」というように記入します。

実際に書いてみましょう

それでは、コラム法の上から3つを書いてみましょう。できごとは「繁忙期で仕事量が増えて余裕のない時期に、上司から「これお願いね」と新しい業務を頼まれた」とします。その時の気分は、怒り、悲しみ、無力感があったとします。

少し脱線しますが、同じできごとを体験しても人によって気分は異なるので、「私は不安になる」「私は怒りしかない」という方もいるかもしれません。周りの人と同じである必要も比べる必要もないので、自分の気分をゆっくり探して記入してください。

そして3つ目の自動思考です。ここでは自分に対して考えたのか、誰か他の人のことを考えたのか、将来について考えたのかをそれぞれ書いてみました。いくつか考えがある場合、その時の気分を最もよく説明する考え(ホットな思考と呼びます)に〇をつけておきましょう。今回の例ですと、「自分はそんなに能力がないのに」がホットな思考になります。

いかがでしょうか。

練習するときのコツは、最初から大きな不安や怒りが起こったできごとで練習すると、その時の気分を再体験してしんどい場合があるので、小さめの不安や怒りを感じたできごとで練習しましょう。もちろん、小さなストレスを感じたできごとでも、書いていて気分が悪くなったなどがあれば、無理せず休憩してくださいね。その他、昔のできごとは記憶が曖昧になっていることがあるので、最近の記憶に新しいできごとで練習する方が良いです。

ここまでの3つの欄を書くだけでも最初は疲れるので、今回はここまでの説明にして、残り4つのコラムは次回ご紹介したいと思います。

おわりに

普段あまり意識しない部分なので少し疲れた方もいらっしゃると思いますが、繰り返し練習することで自分の考え方の癖や自動思考の傾向がわかってくると思います。

私の場合は他の人ではなく、自分に対して考えることが多く、特に聞こえにくい影響もあってか、自分を過小評価し「自分はできない」と考えることが多かったです。必要以上に反省してしまう感じです。

何かできごとがあった時は胸がギュッと締め付けられるような、居場所がないような気分になることもありましたが、自分の傾向を知ることで早めに気付き、適応的思考を考えられるようになると、こういった考え方の癖や自動思考に引っ張られ過ぎなくなったように思います。ゆっくりお茶を飲んだり、ストレッチをしたり、できるだけセルフケアもしながら、無理せず取り組んでいただければと思います。

参考資料

厚生労働省:心の健康 |厚生労働省

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考え方を増やし、ストレスに対処する ~はじめての認知行動療法①~

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この記事を書いた人

補聴器を使いながら、障害者雇用の分野で事業所と障害のある方、
双方の支援を行っています。
悩むこともありますが、ペットの猫と遊ぶ時間が息抜きです。
どうぞよろしくお願いします。

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