キコニワで記事を書きたいと思ったきっかけ
私は「聞こえる人」ですが、「聞こえにくい人」と一緒に働き、仲良くさせてもらった経験があります。
聞こえにくい人と仲良くなった経験から、いかに聞こえる人が自分のイメージで「ズレた配慮」をしてしまっているかを感じる機会が多くありました。
そこで、キコニワでは、聞こえる人がどうして間違った配慮をしてしまうのかを取り上げます。
そして、どうやったら聞こえにくい人が聞こえる人に、「必要な配慮」を伝えやすいかを考えられるようなきっかけを作りたいと思っています。
聞こえ方にかかわらず、お互いに思いやりをもって生活する方法を、読者のみなさまと考えていければ嬉しいです。
「声」よりも「文字」が伝わりやすいときもある
私は、必ずしも音声による会話が、コミュニケーションとして万能ではないと感じています。
そう考えるきっかけになった、聞こえにくい同僚(以降、Aさん)と地下鉄に乗った際の経験をシェアします。
聞こえにくい人と地下鉄に乗った体験談
私はAさんと地下鉄に乗った際、会社でとっていたコミュニケーション方法のまま、音声による会話をしていました。
具体的には、会話する際には大きく口を開け、マスクなど口元を覆うものは外し、ゆっくりと話すといった配慮をしたのです。
そして、このときの私は、この方法だけがAさんにとってわかりやすいコミュニケーションだと、信じて疑いませんでした。
しかし、地下鉄駅構内のアナウンスや乗客の話し声、「ゴォー」という電車の音に、私の声はかき消され、Aさんにはうまく伝わっていない様子でした。
そこで私はスマホのメモに「どうしたら会話しやすいですか?」と打ち込み、Aさんに画面を見せることに。
すると、「周りの音がうるさいときはテキストでやりとりする方が楽です」「だから、このままテキストでやりとりしたいです」と教えてくれました。
このタイミングではじめて「文字」であっても、相手とコミュニケーションがとれるならそれで良いと気づいたのです。
同時に、Aさんに対して「今は聞こえにくい環境です」と言わせてあげられるような、「要望を伝えやすい人・話を聞いてくれそうな人」になれていなかった自分に、怒りを覚えました。
必要なのは「会話」ではなく、「コミュニケーション」
このように、聞こえる人は隣にいる人に「声で伝える」ことを当たり前だと思ってしまいます。
私も地下鉄での一件があるまでは、Aさんと話す場合はいつでも、口元をはっきり見せたり、大きな声で話したりする「聞こえる人の考える型にはまった配慮」だけしてきました。
もちろん、このような方法でも、環境や聞こえにくさの程度によってはコミュニケーションはとれます。
しかし、聞こえる私は「音声による会話」という形にこだわるあまり、「目の前の相手が受け取りやすい形で伝える」というコミュニケーションの基本的な内容を忘れていたのです。
音声による会話はコミュニケーション方法の一種でしかなく「伝えたいことが伝われば、文字やジェスチャーでいいんだ」と、気づかされました。
相手にとって必要な「配慮」を考えよう
私はAさんと仲良くなるまで、本当の意味での「配慮」についてあまり考えていませんでした。
聞こえる人が相手に配慮する際には、つい自分の思う「良いこと」を相手に押しつけてしまいがちです。
例えば、それまで私は簡単な確認をする場合、Aさんにも口頭で要件を伝えていました。
コミュニケーションの取り方や相手に必要な配慮を考え直してからは、どんなに些細なことでもメモを渡すようにしました。
もちろん当事者でない聞こえる人は、聞こえにくい人が必要としているすべての配慮を把握できるわけではありません。
しかし、本当に必要なのは、「相手は何に困って、どうして欲しいのか」を知ろうとする姿勢なのではないでしょうか。
だからこそ、一方的な善意の押しつけではなく「一緒に心地よい関わり方を見つけていく」ことが、本当に必要な配慮なのではないかと考えます。
まとめ|伝わることを大切に
私は、Aさんとのコミュニケーションから、必ずしも「声」で伝えることが正しい方法ではないと学びました。
今後は、「聞こえにくい人」が気軽に会話できるように環境を考慮し、してほしい配慮を伝えやすい雰囲気を作る方法などを、一緒に考えたいと思いました。
「聞こえる人」は相手の様子に気を配り、必要な配慮はないかという点に関心を持つことが重要です。
そして、「聞こえにくい人」は、「聞こえる人」は無知がゆえに間違った行動をしている点を念頭に置き、聞こえにくいときは相手に伝えましょう。
この記事が「聞こえる人」と「聞こえにくい人」のコミュニケーションについて考えるきっかけになれば嬉しいです。