こんにちは!
最近、男性育休取得や育児休業給付金や出産費用は自己負担なしを検討などのニュースが増えていますね。
その中で男性育休取得が注目を集めています。
実際に育休を取得した男性社員の記事をいくつか読んだことがありますが、
ろうパパがろう息子と1年間育休取得したエピソードがあまり無いことに気づきました。
じゃあ、私の夫をモデルにして記事を作ろう!
ということで夫にインタビューしました。
夫のプロフィール
東京都八王子出身。先天性感音性難聴。
妻と息子の3人家族。趣味は畑、キャンプ、スノボーといったアウトドアのものが好き。
夫婦共働きで、妻と一緒に1年間育児休業を取得した。
お話いただくテーマはこちらです。
育休について
ー育休を取得した期間と、取ろうと思ったきっかけを教えてください
私の育休取得は2022年1月10日から2023年1月10日までの1年間です。
一人っ子であり、兄弟を持ったことがないので赤ちゃんの面倒を見る機会がありませんでした。
26歳になってやっと赤ちゃんと触れ合う日が来たと思うと、成長を見守りたい思いがありました。
ー男性の育休取得について理解が増えてきましたが、上司へ育休取得を伝えた時の反応はどうでしたか?
上司はシングルファザーであり、子育ての大先輩として理解があったため、安心して育休を取らせていただきました。
ーいざ取得すると決めてから、何か悩んだことはありますか?
全て初体験なので、小さな命をこの手で育てられるか不安はありましたが、
命を育てることはなかなかないので、楽しみという気持ちはありました。
ー育休開始後、自分は何をしましたか?
まず、出生届や手続きなど書類は全て対応しました。
妻と息子が退院して赤ちゃん用のベッドを整えておくなど、すぐ対応できるように環境を整えました。
妻が退院後、妊娠中ずっと食べられなかった生もの(お寿司、生魚、生ハム、チーズなど大好物)を用意しました。
ー育休中はどのように過ごしましたか
夫婦と一緒に夜間授乳、日中はオムツの漏れや吐き戻しで汚れた服を洗ったり、ご飯を作ったり、小児科で予防接種の付き添いに行ったり、日用品のオムツやミルク缶が切れたら買いに出かけたりしていました。
後半は、離乳食が始まるのでその準備をしたり、絵本の読み聞かせ、検診、療育先に連れて行ったりしていました。
ー育児休業給付金の用途は何でしたか?
赤ちゃんに必要なオムツ、粉ミルク、服、肌のケア、おもちゃなど課金していました。
ハーフバースデーは、下田へ旅行して赤ちゃんも入れる露天風呂に入るなど、リフレッシュをしました。
ー1年間育休のメリットとデメリットは?
メリット:全ての成長を見ることができます!
デメリット:育児休業給付金が半年まで67パーセントしかもらえないこと。それ以降は50%半分になるので、粉ミルク、オムツなどお金がかかる時に貯金がないと生活が厳しいかなと感じました。(2022年1月時点)
今は80%か100%に上がる話が出ているので2人目を考えている僕はありがたいと感じました。
ー1年間育休後、仕事復帰しましたか?
仕事復帰せず、退職しました。
前職は週5出勤のと、在宅勤務ができない環境でした。
聞こえない息子が生まれ、ろう学校の進学や家族の時間などを見通した上、在宅勤務ができる会社、子どもの時間が取りやすい、勤務時間などの条件が揃っている会社へ転職しようと思い、育児しながら求職活動をしました。
育休終了ギリギリのところで内定をもらい、2月から転職先へ働き始めました。
ろう息子について
ー息子の両耳が聞こえないとわかった時の心境は?
分かった時は不安になりました。
聞こえない親が聞こえない子を育てるケースが少ないのと、聞こえる子は音があるおもちゃを与えられるけど、聞こえない子はどんなおもちゃなら喜んでくれるか選択肢が狭いからです。
最初は、多少聞こえているかもしれないと思うシーンがありました。
例えば、ドアが閉める時、ビクッとするような反応がたまにあったので、半年くらいまで、本当に聞こえないのか、と思うことがありました。
音を出して泣いてしまうかもしれないと思い、静かにドアを閉めたりしていました笑
半年を過ぎたあとは、掃除機の音や大きな音に反応しないのではっきり聞こえない、僕と同じ聞こえない仲間だと分かりました。
もし聴者だったら、どう接すればいいかわからない。けど、息子は同じろうなので、当事者の僕として今までやってきたコミュニーケーションや触れ合いを分かっているため、育児しやすかったです。
ーろう息子の育児において悩むことはありましたか?
僕の両親は聴者なので、口話もしくは手話でコミュニケーションの選択肢があったが、僕は手話しかできないので将来に影響がないか不安がありました。
妻はデフファミリーなので、その悩みはありませんが、僕はデフファミリーが初めてなので、大丈夫かな?と現在も悩んでいます。
しかし、僕が出来ることは手話なので、手話をメインに育てているデフファミリーの友人を参考にして僕なりの愛情でコミュニケーションをとっていけたらと思っています。
ーろう息子と一緒に暮らす中、ろう者だなと感じたことは?
目で観察する力があるので、親が話す手話をよく見ていました。
また、反り返りがすごかったです。ろう赤ちゃんあるあるらしいです。
ー初めて覚えた手話の単語は何ですか?
電車です!
息子は電車が好きで、絵本に電車が出るとよく電車の手話をしてくれました。
正しい手話と違うけど、息子なりの手話で小さな手で披露してくれて可愛かったです。
赤ちゃんについて
ー立ち会い出産はしましたか?初めての息子と対面してどんな気持ちでしたか?
コロナ禍が少し収まってきた時だったので、基本的に検診は付き添いNGで、車で待機していました。
陣痛で辛い妻のそばにいたかったけどそれもNGですが、その代わりに立ち会い出産のタイミングで付き添いはOKでした。生まれそう!と妻から連絡があり、急いで産院に向かいました。
生まれた時、見たことがない別世界に入った気分でした。
初めて父になれたと実感しました。
ー赤ちゃんの世話の中で大変だったことは?
2つあります。
1つ目は授乳後ゲップを出すことです。
聞こえないので、ゲップを出しているのか音がわからないから、出してる・・・?と5分くらい苦戦することがあります。
2つ目は保湿です。
料理、洗濯、掃除などの家事だけで精一杯の中、保湿というタスクが加わると、とても大変で忙しかったです。
きちんと保湿しないとアトピー性皮膚炎になると大変なので、小児科へ保湿薬を処方しに何度も行きました。
ー赤ちやんの成長のなかで一番忘れられない思い出は?
首すわりができた、お座りできた、ずり這いできた、ハイハイできた、好きな手話を披露してくれた、といった成長を1年育休取れたからこそ、初めてできた瞬間を目に焼きつけることができました、貴重な宝物です。
ー1歳まで無事に迎えてどうでしたか?
1つの荷が降りたなと感じました。
それまで、すくすく育っていた赤ちゃんが、ある日突然、眠っている間に亡くなってしまう「乳幼児突然死症候群(SIDS)や窒息、溺水、転倒・転落などによる「不慮の事故」などの事故のリスクから守るのに毎日ヒヤヒヤでした。
赤ちゃんが寝ている時、生きてる・・?と呼吸の確認を繰り返していたので、安心して寝れる時間がなかったです。
妻について
ー育休が始まるまで、妻の妊婦生活のサポートは主に何をしていましたか?
妻はつわりがひどく、前職は週5日出勤だったので1日中、サポートができないことが心痛かったです。
仕事の帰りに食べれるものがあるかをチャットで聞いて買っていくことしかできないので、家事全体出来ることはやりました。
ストレスは胎児に影響悪いとネットに書いていたので、外食行きたいなら行く、重いものは僕が持つといったことをしていました。
ー妻と一緒に育児をする上での心構えは?
3つあります。
1つ目はチームワークといった連携です。
夫婦とも育児の初心者なので、1人で頑張ろうとしないで、睡眠不足で寝たいのであればすかさず妻にお願いしたり、オムツ変えの際、妻はオムツとお尻ふきを用意し、僕は服を脱がせるといった連携をしていました。
2つ目は、コミュニケーションです。
息子が昼寝している間が2人の時間なので、そのタイミングにおしゃべりでお互いの気持ちを共有しています。
3つ目は、1人の時間を取ることでリフレッシュができることです。
育児に追われ、1人の時間がなくなります。
僕はスノボーをしたい、妻は絵を描きたい、などお互いの趣味を尊重しています。
スケジュールを確認の上、スノボーに行かせてもらってリフレッシュしました。
そのおかげで心の余裕が出てまた育児を頑張ろう!と思えます。
1歳前の息子と一緒にスノボーデビュー↓
最後に、これから育休取得を考えている方へのメッセージをお願いします
パパとしての責任を感じて、大変なことがあるかもしれないけど、育児を楽しくやってほしいです!
1人でやろうとせず、周りに頼れる人がいたら頼っていいと思います。
子育てには正解がなく、冒険心を持ってトライ&エラーの精神でやってみると面白い発見があるので育児を楽しんでください!
最後に、人と比べないことです!
赤ちゃんはそれぞれのペースがあるので、焦らず見守ることができるといいですね!
・・・
貴重なお話ありがとうございました!
いかがでしたか?ろうの子どもを持つ親たちは、最初に育てられるか、不安に思うことは同じだと思います。
でも、聞く子ではなく、「見る子」であり、育て方が違うことを理解できるようになりました。
現在の2歳の息子は、手話でのコミュニケーションが取れており、楽しく育児をやっています!
夫の経験(この記事)がこれからパパになる人たちの役に立てられたら幸いです。