聴覚障害とは?

聴覚障害者の求人サイト『グラツナ』に掲載している記事を紹介します。

聴覚障害者の雇用を考えている採用担当の方や企業だけではなく、聴覚障害者との接点がない人にもぜひ読んでほしいです。

聴覚障害について、一般的に「聴覚障害って単に耳が聞こえない・聞こえにくいだけだよね」と思われがちです。

そこからよくある誤解からコミュニケーションのズレなどが生じやすくなっております。

人それぞれ症状によって違うため、聞こえないとはどういうことなのか聞こえないことで何があるのか聞こえる人ができることは何か、この記事を通して知るきっかけになれたら嬉しいです!

まず障害の種類について、お話していきます。

目次

◼︎聴覚障害の種類

聴覚障害の種類は上図のように3つあります。上から順に解説します。

伝音性難聴

外から集めた音が最初に外耳に入り、鼓膜がある中耳へと伝わる部分に異常が見られるため、音がうまく伝わらず、きこえにくくなることです。

ことばを聞き分ける機能をもつ内耳について特に問題ないのですが、外耳から中耳にかけて音が小さくきこえてしまったり、ききにくかったりするのです。

原因

  1. 耳掃除や中耳炎、スポーツなどの衝突によって、鼓膜に傷や穴があく
  2. 耳垢が詰まる
  3. 生まれつき、外耳道が閉じてたり、耳小骨に奇形がある

治療方法

原因が分かれば、治療で治ることが多いです。

例えば中耳炎の場合は投薬、先天性奇形の場合は手術ということです。

または、内耳の機能が問題ないのであれば、補聴器で音の調整をする場合があります。

感音性難聴

ことばを聞き分ける、音の種類を分ける機能がある内耳から脳に伝わる聴神経に異常が見られ、言葉や音を認知することが難しいです。

治療方法はありませんが、聴力によっては補聴器を装用、または手術で人工内耳を埋め込む方法があります。しかし、きこえる人と同じようにはできません。

生まれつききこえない「先天性難聴」と生まれた後にきこえなくなる「後天性難聴」といった2つに分けられます。

先天性難聴

生まれつききこえない子どもは1000人に1人と言われています。そのおおよその半分は遺伝性、その他は原因不明や風疹などです。

きこえのレベルは軽度から重度まであり、軽度の場合は聞こえないことに気づかれにくい場合もあります。

後天性難聴

以下のような8つの種類があります。

騒音性難聴

工事や建設現場、パチンコ店など騒音が多い職場で働く人に見られます。

音響性難聴(音響外傷)

爆発音、コンサートやライブ会場などの大音量にさらされることで生じます。

他にヘッドホン難聴(もしくはイヤホン難聴)といって、大きな音量で音楽などを長時間きくと、少しずつ聴力が低下していくこともあります。特に10代から30代の若い人に見られます。

老人性難聴

加齢とともに内耳や聴神経の機能が低下してきます。個人差はありますが、65歳頃から増え、80歳頃から80%くらいきこえにくくなるといわれています。

突発性難聴

片耳が突然、音が感じ取れない、きこえにくくなる原因不明の難聴です。40代〜60代に見られます。また、ストレスや過労、糖尿病などが原因で起きやすくなるともいわれています。

メニエール病

内耳は音を聞き分ける機能のほかに、体のバランスを保つ平衡機能があります。その内耳がむくんでしまい、突然、めまいの発作が数分から数時間続き、頭痛、耳鳴りや耳がふさがったような感覚などが繰り返し起きる病気です。めまいの頻度は人によって違いますが、発作を繰り返すことで徐々に聴力が低下する場合があります。特に女性で30代〜40代に見られます。

ウィルス性難聴

おたふく風邪といわれるムンプスウイルス、水痘や帯状疱疹ウィルスなどの感染で内耳や聴神経に損傷が生じることがあります。

薬剤性難聴

治療のために投薬した薬によって引き起こされる難聴です。例えば、抗がん剤や抗生物質などが挙げられます。

その他

原因不明からくる難聴もあります。

混合性難聴

感音性難聴と伝音性難聴を両方もつ難聴のことです。中耳炎が原因で伝音性難聴になり、加齢とともに内耳から聴神経の機能が低下し、感音性難聴になる場合が多いです。特に老人性難聴に見られます。

◼︎難聴の程度ときこえのレベル

下図は聴力の段階でどのくらい聞こえるか示したものです。

聞こえの程度は人によって異なりますので、あくまでも参考にしてくださいね!

軽度

ささやき声や遠い声などが聞こえません。会話については騒がしい場所、例えばざわざわしている所、電車の走行音など大きな音のある環境の中、または小声での会話は聞き取りにくい、または聞き間違いが生じやすいです。

中度

いつもの音量で話している人の声は聞こえるが、話している内容を理解できない場合があります。大声で話せばなんとか理解できるレベルです。

高度

いつもの音量で話している人の声が聞こえにくい、または全く聞こえません。大きい音、例えば犬の吠え声や車のクラクションなど普通の人が驚くくらいの音が聞こえるレベルです。

重度

全くきこえません。耳元で話しても理解できません。強いていえば、飛行機の轟音などの普通の人がすごくうるさいと感じる音、または振動で分かることもあります。補聴器を装用しても音はきこえるが、音の区別がわかりません。また、会話の内容も理解できません。

◼︎聴覚障害程度等級

下図は聴力の程度に応じて、程度等級が認定されています。それに伴い、身体障害者福祉法に基づいて身体障害者手帳が交付されます。

5級の認定は無く、重度の2級から軽度の6級まであります。

聞こえの程度について個人差はありますが、6級と4級は補聴器を活用すると、会話などスムーズにコミュニケーションが取りやすくなる場合があります。

3級と2級の場合は、補聴器だけで会話など聞き取ることは難しいです。

しかし、等級にこだわらず、全ての情報、コミュニケーションが分かる環境を聴覚障害者と相談、一緒に作っていくことも大切です。

アプリの活用、手話通訳、情報を視覚化するなど様々なツールがありますので、聴覚障害者に合ったコミュニケーション方法を一緒に考えると良いでしょう。

◼︎よくある誤解

聴覚障害者は外見だけだと聞こえる人とあまり変わらないので、それに対するよくある誤解がいくつかあります。

経験によって違いは様々ですが、以下の4つはよくある誤解です。

  • 補聴器をつければ全て聞こえる
  • 耳元で大きな声を出せば聞こえる
  • 聞こえない人はみんな手話ができる
  • 声かけたのに無視された

一方的に「補聴器があるから分かるよね」と言われたり、聴覚障害者の耳元で突然大きな声で話す、「聞こえないなら手話はもちろんできるよね」など心無しかそういう風に言われたことある聴覚障害者も多くいます。また、相手が無視されたと勘違いして、冷たい態度を取るということもあります。

他には読話をしてる聴覚障害者は聞こえる人が長々と説明すると、何を言いたいのか、または目が乾いてしまって疲れてしまうケースもあります。

聞こえる人ができること

  • 補聴器をつけていても、人によって聞こえが異なりますので、どうしたら理解できるのか、聴覚障害者に相談すると良いです。
  • 声をかける時は肩を軽くたたくようにしましょう。もし相手が聞こえないことを知らない場合、無視されたと思うのではなく、その人が見えるところにいき、反応を見てください。
  • お話をする時は相手の顔を見ながら話すように心掛けてください。内容も理解できたかどうか確認しながら話していただくか、アプリを使用すると良いです。

◼︎まとめ

聴覚障害についてのお話をしましたが、聴覚障害者は実に多様で、聞こえの程度も人それぞれです。そのため基礎知識の理解を深める第一歩として活用してくださると嬉しいです。

聴力関係なく、複数の人が集まる場、例えば会議や雑談する場などで、聞き間違いなど聞こえないが故に会話に入るタイミングが分からない、不安な気持ちになっている聴覚障害者もいます。

この場にいる全ての人がコミュニケーションを公平に取れるようにするにはどうしたらいいのか、聴覚障害者も一緒に考えていくのも大切です。

そのように意思疎通できる環境作りを一緒に考えていくことでお互いの生産性の向上にも繋がります。

前回の情報保障のツールの紹介ブログもありますので、ぜひ活用してくださいね!

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この記事を書いた人

Akkoのアバター Akko 編集長

こんにちは!Webメディア「キコニワ」の編集長・Akkoです。
ろう者、2児のきこえる子どものママをしています。
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