こんにちは!いつも『世界のデフニュース』を読んでいただき、ありがとうございます。
6月に入り、紫陽花が色とりどりに咲き始め、しっとりとした季節を感じるようになりましたね。
梅雨シーズンの中のちょっとした日常のひとコマも、写真におさめたくなる瞬間が増えてきます。
今回の『世界のデフニュース』は、前回に続いて『デフフォトグラファー※1』海外版をお届けします📸
世界には、耳が聞こえない・聴覚障害のあるフォトグラファーたちが、自分の感性で撮った素敵な写真がたくさんあります。その一枚一枚に込められた想いを、ぜひ感じてみてください。
※1デフフォトグラファー(Deaf Photographer)とは、耳が聞こえない・聴覚障害を持つフォトグラファーのことを指します。
Stephen Iliffe(イギリス)
イギリスを拠点に活動するデフフォトグラファーです。
ご本人の写真はこちらになります:▶︎https://deaf-mosaic.com/bio
2020年に立ち上げたプロジェクト『Deaf Mosaic』では、世界中の聴覚障害者のポートレートとストーリーを紹介しています。ろうコミュニティは、展覧会や雑誌、写真集といった写真の世界では、これまでほとんど注目されてきませんでした。Stephen Iliffeさんが立ち上げた『Deaf Mosaic』プロジェクトでは、そんな現状に問いを投げかけ、変えていこうとする試みだそうです。なんとこのプロジェクトは、英国王立写真協会(RPS)から表彰されています!
RPSは1853年に設立され、世界で最も古く、最も権威のある写真協会の1つだそうです。そしてBBCやSkyNewsなどのメディアにも取り上げられたそうです。講演会やワークショップなども開催しています。
『Deaf Mosaic』のWebページの内容がとても充実しているのでぜひお時間のある時に見てみてください。
(日本語への翻訳機能をお使いください)
Clare Cassidy(アメリカ)
Instagramフォロワー1万人超えの人気フォトグラファー、Clare Cassidyさん。
カリフォルニア州を拠点に、家族写真やライフスタイル、出産・新生児といったテーマで、感情豊かで温かみのある写真を撮影しています。ご本人のInstagramでは、さまざまな撮影フォトが美しく並べられており、どれもその世界観に引き込まれるような魅力にあふれています。自分もこんなふうに撮ってほしいと感じてしまいます。
ウェブサイト:https://www.clarecassidyphotography.com/
彼女の活動は、アメリカのろう者向けニュース番組The Daily Mothでも紹介されており、実際に働く様子や、ご本人が手話で登場する映像も見ることができます。
Isabelle Lim (シンガポール)
彼女は、家族写真やマタニティポートレート、結婚前のカップルフォト、イベント撮影を専門とする写真サービス「ssyshoots」を立ち上げ、自ら経営しています。この記事ではIsabelle Limさんの生い立ちや写真家としての道のり、そして彼女がどのような想いで日々の撮影に向き合っているのかが紹介されています。
写真の話だけでなく、Isabelle Limさんの母親の子育てについて大切にしていることも語られています。2児の親である私にとっても、共感でき、子育ての参考にもなりました。
John Uy(アメリカ)
アメリカ国内にとどまらず、世界各地を旅しながら撮影を行っているデフフォトグラファーです。旅先で出会った人々との交流や、そこで感じたことを作品として残し、「写真を通じて平和や共感を届けたい」という思いを込めています。また、Johnさんの撮影サービスには、ドローン撮影も含まれており、まさに「今どき」のニーズに応える魅力的なサービスを提供しています。空からの視点で、他では見ることのできないダイナミックな写真を撮影することができるのも、Johnさんの魅力の一つです。
私自身、子供が小さい頃、七五三や家族写真をフォトスタジオで撮影したり、出張撮影を依頼したことがあります。しかし今振り返ると、ろう者(手話を必要とする聞こえない人)のフォトグラファーにお願いしていれば、家族全員(全員手話を必要とする聞こえない人)が手話でスムーズにコミュニケーションでき、もっと自然な笑顔でリラックスして撮影できたのではないかと感じます。写真は、一瞬を切り取るだけでなく、その場の空気感や感情を映し出すもの。だからこそ、撮影する人と撮られる人の間に言葉の壁がないことが、より心のこもった一枚につながるのではないでしょうか。
今回の記事を執筆しながらふと思ったのですが、海外旅行の際にも、現地のろう者カメラマンに撮影をお願いするという選択肢もありますね。国ごとに手話は異なりますが、ろう者同士であれば、不思議と通じ合える部分があり、言語の壁を越えたコミュニケーションが生まれることも多いです。次に海外に行くときは、もしチャンスがあれば、現地のろう者カメラマンに撮影をお願いしてみたいなと思っています。
前回は、日本人のデフフォトグラファーをご紹介しています。興味があればぜひご覧ください。
