ろう・難聴版 職業ガイドブック_007 ゲストハウスオーナー

海外からのゲストが来た時のためにも英語を勉強しようかな…。

新卒で東京のSE（システムエンジニア）として８年間働いた後、自然豊かな地域で働きたいと思い、転職して北海道で公務員として７年間勤務しました。
しかし、定年まで公務員として働く自分の姿をイメージできず、将来の働き方について改めて考えるようになりました。そんな中、温泉の経営者になりたいという夢が芽生えました。

結果的には、温泉付きゲストハウスの女将となりましたが（笑）

出身は長野県で、長野県は日帰り温泉施設の数が全国１位なんですよ。
それくらい温泉が身近な存在として感じられる環境で育ち、毎日温泉に入れる場所で暮らすのが夢でした。
なので、その夢を叶えるには温泉の経営が一番手っ取り早いかなと思ったんです。

温泉の経営者になるという夢を大学時代の友人に話したところ、意気投合し、一緒に実現可能な物件を探すことになりました。

北海道内さまざまな場所を訪れ、後継者がいない温泉施設がないか、聞き込み調査をしました。
そんな中、別の友人から「近隣の民宿が閉業するらしい」という有力情報をもらい、出会ったのが現在経営しているゲストハウスです。

立地も良く、温泉の質も素晴らしかったので迷わず即決でしたね。

私自身がペット連れの旅で苦労した経験が大きな理由です。
「１匹までならOK」といった制限や、ペットの体重制限があったり、料金が高かったり。
そのため、しょっちゅう車中泊で済ませることが多かったです。
そうした経験から、ペット同伴可にしたいと思っていました。

宿泊ゲストから「快適に過ごせました」「すごくいい温泉でした」と言っていただけると やはり嬉しいですね。
犬や猫も泊まれるゲストハウスということもあり、 「連れてきた犬（猫）がのんびり過ごせていたから、私たち人間もリラックスできました」と喜んでいただけると とてもやりがいがあるし、開業してよかったなと思います。

う～ん、特にないですね。

ただ、経営を続けるためには、稼働率を上げていきたいですね。さらに多くの宿泊ゲストに泊まっていただけるような工夫を どのようにしていくかが今の課題です。
ただ、やみくもに宣伝して沢山来られると、逆にくつろぐことができないので、そのバランスが難しいですね。

大学では動物に関することを学び、将来は動物に関する仕事をしたいと思っていました。
就活で動物園や水族館の求人を探し、履歴書を送りましたが全て障害を理由に断られた苦い思い出があります。
耳が聞こえないことを理由に実習も受け入れてもらえませんでした。
それで夢を諦め、一般企業からの求人に応募してたまたま受かったのがSEの仕事なんです。

大学時代からの付き合いである友人(聴者)と２人で経営しています。
その友人が手話を覚えてくれているので、とても助かっていますね。
20年の長い付き合いなので、気の置けない関係になっています。

友人曰く、一緒に働くまでは耳がきこえないことをそこまで意識はしていなかったけれど、 一緒に働くようになってから、聞こえないことによる情報量の少なさ、大変さをすごく実感したそうです。
そういった理解も体感している友人だからこそ、とても心強い存在になっています。

主に口話や筆談で対応しています。
まずは、受付付近の壁にコミュニケーション方法のお願いを説明した紙を貼っているのでそれを読んでもらっています。

最初は筆談中心で進め、口話でも大丈夫そうだと感じたら、口話に切替わることもあります。
事前の問合せや予約等はLINEやメールなので問題ないですが、電話がかかってきた場合、共同で経営している友人(聴者)に対応していただいています。

小学校の時から活発な方でしたが、中学生になると女子はどちらかというとグループを作り、雑談をするようになりますよね。そこでおしゃべりの輪に入れず孤立するようになりました。

そのことをずっと悩んでいましたが、ある時を境に吹っ切れました。そこからは無理に輪に加わろうとすることをやめ、気の合う人と絵を描いたり、１人で読書をしたり、マイペースに自分が楽しめる方法で過ごすようになってからは気が楽になりました。

私と同じく地域の学校に通っていた、ろう学校の先輩の話を聞く会という行事に参加した時のことです。
その先輩は耳にびっしりピアスがついていて、その理由は「補聴器を魅せるため」というように、普通は隠したがるところを堂々とオープンにしていたので、とてもカッコよく見えました。

その先輩に悩みを伝えると、
「自分も同じだったよ。でも、そんなことで悩むために私は学校に通っていない。そう思うようになってからは悩まなくなった。」
と答えてくれました。その言葉がストンと腑に落ちてから、悩まなくなりました。

彼女が私にとっての良きロールモデルだったなと今となっては思います。

・夢中になれるものを見つけて、それに一生懸命取り組むこと

私の場合は部活動の剣道でした。剣道が好きだから頑張れました。
なにかに夢中になって頑張った経験は、大人になってからも困難なことを突破する力として活きるように思います。
剣道は楽しくて毎日素振りをしていたのですが、続けているうちに大会で勝てるようになりました。分かりやすく結果に出たので、努力が結果に繋がることを身をもって体験できました。
努力した分だけ結果に繋がるということを知っているので、どんなに苦しくても踏ん張れるのだと思います。

「明日は明日の風が吹く」です。

中学生ぐらいの時からずっと好きな言葉です。
くよくよするな。悩んでも仕方ない。とりあえず寝て、明日頑張ろう。と思わせる前向きな言葉で なんとなくいいなと気に入っています。