アムステルダム空港に到着したのは夜でした。
初めてのオランダだったこともあり、アムステルダム駅近くのホテルを予約していました。
駅からホテルまでの道は石畳で、路面電車の線路もあり、大きなスーツケースを持ち運ぶことがとても大変でした。石が敷き詰められており、日本の道よりもゴツゴツしていて、ロンドンの道に似ていました。
路面にある鎌倉江ノ電の線路、京都先斗町の石畳など、日本にあるものとは異なっており、足からの触覚的な違いがオランダ到着の第一印象でした。

オランダで驚いたこと
翌日、特急列車でアイントホーフェンに向かいました。
電車の中に自転車や犬がケースやカバーに覆われることなく乗っていて驚きました。日本では見られない光景です。自転車や犬がそのまま電車に乗ると他者に迷惑が掛かるから、日本ではカバー付きがルールになっているのでしょう。オランダは日本よりも他者に対して寛容な文化があるのかもしれないと感じました。
Duth Design Weekとは?
ダッチ・デザイン・ウィークに参加することが、オランダ渡航の主な目的でした。

Dutch Design Week(ダッチ・デザイン・ウィーク)、通称DDWはアイントホーフェンで毎年10月に開催されるオランダ最大のデザインイベントです。工業デザイン、グラフィック、テキスタイル、ファッション、空間など、あらゆる分野のデザインが集まる大きなイベントです。そこでタッチプラネットに参加しました。

タッチプラネットには多くのデザイナーやアーティストが来ました。言葉や文化は違いますが、面白いものや新しいものに興味があるということは共通しており、共に過ごす時間はとても楽しかったです。触覚の遊具やカードゲームなどで一緒に遊びました。みんなで笑顔になれる時間や場所が私は大好きです。
レオニーさんとの出会いで
ダッチ・デザイン・ウィークでタペストリーを研究しているレオニーさんに出会いました。

彼女が作るタペストリーはとても美しく手触りが優しく魅力的でした。タペトリーの中にいろいろな形状がありました。大きい魚や雨のような形状です。タペストリーの凹凸から伝わってくるものがあります。触覚サインとしてタペストリーを活用できないか、と考えました。手すりを使ってサイン表示をすることを考えてきましたが、壁全体にメッセージがあり、晴眼者にとってはアート作品、視覚障害者には触れられるサインなど、多様な受け取り方が出来るモノを創りたくなりました。多くの人々が集まる場所にあれば、自分とは異なる他者を想像するきっかけになるのではないでしょうか。いつかレオニーさんと作品を創りたいです。
アイントホーフェンでの生活
アイントホーフェンでは友達と一緒にレジデンスホテルに宿泊しました。
KEIKEN[i]のハナさんとの想い出がたくさんあります。ハナさんは料理がとても上手です。彼女が私のために美味しい物をたくさん作ってくれました。一緒にスーパーに買い物にも行きました。一緒に楽しく過ごせて幸せでした。雨が降っている日、ハナさんと一緒にアートメイクをしてタクシーに乗り、2人でタッチプラネットに行きました。外国の友人と二人で出かけるのは初めてでした。ハナさんは盲ろう通訳介助員ではありませんが、誘導介助が上手でした。ハナさんと私は仲良くなっており、信頼関係があるからこそ、安心してハナさんの支援を受けることが出来ました。やはり心が繋がっていることが一番大切だと思いました。

オランダで感じたこと
オランダで服を2枚買いました。

1960年代のアンティークです。優しい手触りのきれいな服です。古いものを大切にするヨーロッパの文化が感じられました。人が創ったものを大切にし続けること、残していくこと、その温かさを2枚の服から感じます。過去に居た人々、今を生きる人々、そして未来の人々、様々なデザインが人のつながりを残してしていくのかもしれません。未来の人々につながるようなモノや場をデザインしたいと、オランダの旅で強く思うようになりました。
Keikenは、2015年に、メキシコ、日本、ヨーロッパ、ユダヤなど様々なディアスポラ的背景を持つ、ターニャ・クルス、ハナ・オーモリ、イザベル・ラモスの3人により設立されたアート・コレクティブで、ロンドンとベルリンを拠点に活動しています。彼女たちは、スペキュラティブな未来を想像・構築し、新しい生命の構造と存在方法をシミュレーションします。日本語の「経験」を由来とするグループ名が示すように、彼女たちは「経験」というコンセプトで、活動のあらゆる面で意識の本質と未来を探求しています。
