こんにちは。盲ろうライターの田畑です。
『「盲ろう者」とは何だろう?』
『「盲ろう者とのコミュニケーション方法」は何かあるだろう?』
分かりやすく説明している記事ですので、また、私が通っていた学校での情報保障も書きましたので、盲ろう者や情報保障について深く知っていただければ嬉しいです!
盲ろう者とは??
盲ろうとは、目〈視覚〉と耳〈聴覚〉の両方に障害があり、1万4,000人ほどの盲ろう者が日本全国にいます。
そして、全盲ろう・弱視ろう・全盲難聴・弱視難聴・先天性盲ろうの盲ろう者がいます。
それぞれの詳細については以下の通りになります。
全て目が見えず、耳が全て聞こえない人
目が少し見えて、耳が全て聞こえない人
目が全て見えず、耳が少し聞こえる人
目が少し見えて、耳が少し聞こえる人
言語概念を獲得する前(概ね2歳くらい)に盲ろう障害を負った人
盲ろう者とのコミュニケーションとは??
盲ろう者とのコミュニケーション手段は、弱視手話、触手話、指点字、音声、手書き文字、パソコン通訳など様々です。
弱視ろう者が手話を目で読み取る方法。見え方に合わせ、話し手との距離や手を動かす幅などを調整する。手話が見やすいように、話し手は黒色など濃い色の服を着ることが多い。
盲ろう者が手で通訳・介助員の手に触れながら手話を読み取ること。
指を点字タイプライターの6つのキーに見立てて、左右の人差し指から薬指までの6指に直接打つこと。点字が出来る盲ベース盲ろう者(先天性視覚障害者が後天的に聴覚障害を負った者)が使うことが多い。
全盲難聴や弱視難聴の盲ろう者に対して、デジタル補聴援助システムなどを使って、健常者のように音声で通訳をすること。
盲ろう者の手のひらに指先などでひらがなやカタカナ、漢字などを書いて言葉を伝えること。
弱視ろうに対して、パソコンで文字を入力して伝えること。パソコン画面を白黒反転したり、大きな文字に設定して利用することが多い。
盲ろう者は、移動やコミュニケーション、情報入手の障害があるため、社会参加が難しいです。盲ろう者の多くは、先天性視覚障害者がのちに聴覚障害を負う、先天性ろう者がのちに視覚障害を負う、など中途盲ろう者です。手話や日本語などの言語を獲得した後に盲ろう者になります。基本的には、第一言語を使ってコミュニケーションをとります。
私のコミュニケーション方法について
私は先天性盲ろう者です。主にコミュニケーション手段は、弱視手話・触手話・少し指点字などでコミュニケーションをしています。私の障害について述べます。視覚は、左目が少し見える弱視、右目は光の明るさや色がわかる程度です。そして、聴覚は大きな音なら少し聞こえます。この世界に言葉があるということを教えることが何より大変だったと、母から聞いています。
小学部から高等部、大学、大学院での情報保障について
私は小学部から高等部まで12年間、ろう学校で過ごしました。小学部に入学したばかりのときは、日本語や手話が分からなかったです。身振りなどでコミュニケーションをしていました。しかし、友達やろうの先生と手話で話しをするうちに、少しずつ手話を覚えました。手話でコミュニケーションをしながら、日本語の勉強もしました。学校では、基本的には友達や先生方々が弱視手話で情報保障をしてくれました。拡大教科書(文字を大きくした教科書)をボランティア団体に作成していただき使っていました。小学部までは友達と一緒に勉強することを望みましたが、中学部と高等部になると勉強が難しくなるために、主要教科は丁寧に1対1の個別指導を受けました。体育や技術家庭、美術などは友達と一緒に授業を受けました。その時も、私には盲ろう障害があるため、近くに先生がいてくれました。具体的には、体育の授業で、マラソンやバレーボール、野球、サッカーをした時、体育の先生が私を見守ってくださり、おかげで友達と一緒に授業を受けることが出来ました。
高校生の時に障害者や高齢者などの支援をする仕事をしたいという夢があったので、大学で社会福祉を学びました。大学生の時、情報保障は十分ではなかったので、友人にお願いし、ボランティアとしてノートテイクをしてもらうなどしていました。その後、福祉の領域を超えて人々の役に立ちたいと大学院に入学し、障害の有無、男女、国籍に関わらず、誰にとっても便利で楽しいものを創りたいと触覚デザインの研究をしています。京都芸術大学大学院では情報保障を受けており、講座やゼミ、研究発表会などで通訳を受けることが出来ています。京都芸術大学大学院の先生方や障害支援室の皆様が盲ろう障害を理解しようと努めてくださっており、とても感謝しています。
情報入手などは難しいけど、やりたいことは諦めない
私には先天性盲ろう障害があるため、情報入手が難しいなど困難が多々あります。しかし、やりたいことがたくさんあるので、盲ろう障害者だからできないと諦めずに、勉強、旅行、スポーツなどに挑戦を続けています。
他の盲ろう者が学校でどのような情報保障を受けているかあまりよく知りません。盲ろう者は数が少ないので、どのようにコミュニケーション支援をしたら良いのか、一般的には知らない人が多いと思います。多くの人々に盲ろう者とそのコミュニケーション方法を知っていただきたいと思っています。もし、盲ろう者とお会いしましたら、本記事で紹介したコミュニケーション方法で、ぜひ話しかけてみてください。