ろう者の私が、美大進学する前の話(前編)

こんにちは!

4月から入学・進学する皆さん、おめでとうございます。

引越しなどで色々お忙しい時期でもありますね。

また、新しい生活に向けて楽しみと不安が入り混じっているだろうと思います。

特に高校3年に進学した方は、大学もしくは専門学校などさまざまな道に向けて最後の追い込みを始めると思います。

私は美術系の大学(以下、美大)に進学しましたが、同級生の中で美大に入ったのは私だけでした。そこで美大に進学したろう者が少ない印象であることから、今後美大に進学したいと考えている皆さんに参考になれば嬉しいと思い、記事を書くことにしました。

美大に入る前のお話(前編)と美大に入った後の話(後編)を分けています。

  • 美大進学を選んだ理由について

デザイナーになりたいからです!

高1の時、書道の先生になるか、デザイナーになるか、進路に迷っていました。

小1に始めた書道がとても大好きで、書道と言えばスノマナでしょ!と周囲から認められるくらいでした。

それもあって、なんとなく書道の先生になってみたいな〜と思っていました。

高2か3の時小学部に書き初めの授業で私が指導に行く機会がありました。

初めてということもありますが、いざ教えてみると、教える側ではなく作品を書く側の方が向いてるんだと気づきました。

教える時間が7割で自分で書く時間が3割になってしまうので、作品を集中して書けないからです。

また、字のイメージを相手にいかに分かりやすく伝えるか、がとても難しいことを実感しました。

もし、書道の先生になれたとしても、

  • ろう者の子どもを教える機会が少ないかもしれない
  • 発音が苦手なので聞こえる子に向けて声を出すことは難しいのではないか
  • 筆、墨、和紙など材料費がかかる

などから厳しい現実が待ってると思いました。

書道に比べてデザイナーは小さい時から絵を描くことが好きで、

  • 完成した絵が世の中に出れば、いろんな人が見ていい反応をいただけると、達成感が湧きやすい
  • チャットや筆談でやり取りできること、スキルアップできて、仕事内容が合えば、長く働けそう!
  • 企業によっては「美大卒」の肩書が就職を有利なのでは・・・
  • 好きなことを仕事に繋げられるってすごい!

と考え、デザイナーになることを決心しました。

デザイナーになるためには専門学校もしくは美大進学が必要になると思います。

気になる学校を見学に行ったり、美大進学した先輩の声を聞いて悩んだ結果、「専門学校は最大3年間、大学は4年間、1年間の差があるけど、その1年間で私の強みのデザインが磨かれるのではないか」と思い、美大進学を決心しました。

  • 美大進学に向けた準備について

そうと決まれば、まず、自宅から最低2時間内に通える美大を探しました。

その中、ろう者が2名入っている美大があると情報をもらい、オープンキャンパスに行きました。

少数制なので、聞こえない私はかなり目立つため、フォローが入って来やすく、先生とじっくり向き合える距離感がいいなと感じ、入学したいと決めました。

その大学に入学するには、基礎的な力を身に付けているかどうか、の実技試験(鉛筆デッサン)が必要のため、美大予備校に通い始めました。

今まで先輩が通った予備校の場所を教えてもらい、そこに入りました。

私が選んだデザイン・工芸科は鉛筆デッサンや平面構成を中心に試験に必要な技術を磨きました。

友人と励まし合いながら、部活と勉強と予備校と書道この4つを両立させました。

中間・期末試験に向けての勉強もお家だと勉強する時間が足りないので、電車やバスの中でもやりました。

今思うと、人生の中で一番忙しい時期でした。若いからこそ、できたことだなと思いました。

  • 入試の形式について

私の強みをアピールできるAO入試を選びました!

(本音を言うと、勉強があまり得意ではなく、一般入試は受かる自信がないのでAO入試の方が安心だと思いました。。)

AO入試の内容は、鉛筆デッサンの実技・面接・志望理由書だったと思います。(うろ覚えですみません・・・)

夏入試(8月ごろ)を試みることになりました。

7月下旬は高3にとって最後のイベントである関東聾学校バレーボール大会に向けての部活とAO入試の対策を並行で行いました。

クラスの担当の先生と共に志望理由書のブラッシュアップと面接の練習を行いました。

鉛筆デッサンでは、

  • 時間が限られているため、時間内にモチーフを全て書き終えられるように意識する
  • 光の方向を設定する、影の形を理解する、形の精度を高める
  • 柔らかい質感がある布物や、濃く描きたい時に筆の硬さを上手に使い分けられるようにする
  • 基本的にモノクロで書くので、それぞれのモチーフをどう上手く描けるか、が大事

実際に鉛筆デッサンした作品を見た方がイメージつきやすいと思うので添付します。

↑布物は得意だが、ヘルメットは艶感を出すのが苦手なので、弱々しく感じる。

↑学校内にデッサンを描く部屋がある。いろいろなモチーフが置かれていますね!

柔らかい質感がある布物などは得意ですが、透明感があるガラスなどの物を描くのは苦手でした。

苦手なものはとにかく描くしかないので手が真っ黒になるまで座って書き続けました。

そして、いよいよこれまでの努力を全て出し切る日が来ました。

面接でのコミュニケーションは筆談でやりとりしました。

志望理由書で書いた内容と相手の質問の回答にズレないように発言し、鉛筆デッサンも、時間内に書き終えることができました。

後日、結果発表の日が来ました。

私のベッドの上でスマホで受験番号を入力してボタンを押したら「合格です」と表示し、受かった…!と喜び、両親と先生へ報告しました。

これにて私の美大受験が幕を閉じました。

次は後編です!情報保障、何を学んだか、などの大学生活を中心にお話ししていきますので、お楽しみに!

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この記事を書いた人

初めまして!
スノマナと申します。
1997年千葉県生まれ、ろう者、デザイナー4年目。
デフファミリー3人家族。ろう者視線の育児漫画をSNSに投稿しています。
趣味は、美味しいものを食べる&作る、絵を描くこと。この2点はずっとブレてません。
最近は、ものを増やさないミニマリストを目指してます。

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