中等度難聴をもつ子どものクラス担任になったら大切にしたいことを、中等度難聴者が考えてみた

中等度難聴ライターのナツです!

前回まで、【18歳から、補聴器。】と題して

  • 「中等度難聴」であることがわかっても、なぜすぐに補聴器をつけなかったのか
  • 小学生~高校生時代の学校生活で、難聴はどのように影響したか
  • 18歳から補聴器をつけ始めて、どんな変化があったか

などについて綴った、全3回の記事を書いてきました。

中等度難聴であると診断された小学1年生のときも
中学生になっても、高校生になっても
担任に、難聴のことを直接相談したことは一度もありません。

私自身が、「難聴」をとても恥ずかしく重苦しいことだと受け止めていて
簡単に口にすることができなかったのです。

実は一度、高校の部活動の顧問に、意を決して伝えたことがあります。
練習中にちぐはぐな受け答えをしてしまうことがあったので
「ちゃんときいていないんじゃなくて、本当にきこえないのだ」とわかってほしかったのだと思います。

一言「わかった」というような返事だったでしょうか、足を止めてくれずに去ってしまって
「ちゃんときいてくれなかった」と感じてしまい……苦い思い出となっています。

恥ずかしくて隠したくて、でも本当は誰かに真剣にきいてほしい……
そんな矛盾する気持ちがないまぜになっていたのでしょうね。

後に、私はろう学校の教員となりました。
中等度難聴をもつ児童生徒が在籍する、数十人のクラス担任になった経験はありませんが、

もしも私が、中等度難聴をもつ子どもの担任になったら大切にしたいことを考えてみました。

「私はこうしてほしかった」という願いが存分に盛り込まれることが目に見えていますが……(笑)

ここから先、私は中等度難聴ではない担任になったつもりで
書いていきます!

目次

話をフラットにきき、見えることだけで判断しない

本人や親御さんから

  • 中等度難聴であること
  • 補聴器をつけていること
  • どんなことに困っていて、どんな配慮をしてほしいか
  • 学校生活の様子

などについて、報告や相談があったら……。

本人、親御さん、担任、医者、
みんなそれぞれ考え方が違って、「難聴」に対する解釈が違って、温度差があるのは当たり前です。

まずは本人が難聴について感じていること・伝えたいことを、自分(担任)の解釈を入れずにフラットにききたいです。

中等度難聴の場合はとくに、軽く見られてしまうことがあるかもしれません。

例えば、先生から親御さんへの話の中で……

問題ないですよ!

みんなと同じように行動できていますよ

それは一見、難聴であってもスムーズに学校生活を送れている、という前向きな言葉に感じられますが……。


先生の口頭指示はきこえていなかったけれど
まわりの動きを見て同じように動いたのかもしれない。
みんなと同じように動いてはみたものの、理由や過程はわかっていないかもしれない。

行動という結果は同じだったとしても、理由や過程がその子には伝わっていなくて、それで「同じ」と言えるでしょうか。

〇〇さんはよくやっていますよ

勉強もよくできているから大丈夫ですよ

なぜ、よくできているのでしょうか?

本当は授業内容をよくきき取れていないけれど、教科書を読んで理解することができているのかもしれません。
家で予習復習しているのかもしれなません。
きき取れないことをカバーするために、何か工夫をしているのかもしれません。

勉強ができる=授業がよくわかっている=きこえている
補聴器をつけている=難聴ではない人と同じようにきこえている

ではないのです。

「大丈夫ですよ」「よくやってますよ」
みんなと同じようにできている、と励ますつもりのその言葉をまずはぐっと飲みこんで、本人や親御さんの話をまっすぐに受け止めたいです。

「ちゃんと説明しなきゃ伝わらないよ」の危険

もちろん、本人が何に困っているか、どんな場面で助けを必要としているかは
その人の話をきくこと、話し合うことが大切です。

しかし、中等度難聴者本人が何に困っているか、実は本人にもわからないことがあるのです。

なぜなら、難聴者本人は、そのきこえ方でしかきいたことがないからです。
※生まれつきの場合

・自分はどのくらいきき取れていないのか
・難聴ではない人は、どのくらいきこえているのか

それを知るためには、全ての音声情報を文字化して、自分がきき取れたことを文字化して、難聴ではない人がきき取れたことを文字化して、答え合わせをする必要があります。

少し大げさかもしれませんが、そうして初めて
「私はこの言葉がきき取れていなかった」とわかるのです。

「きこえない」ものを「きこえない」と答えるのは、簡単なことではないのです。

まわりの大人は、なかなか自分のきこえについて話してくれない子どもに、もどかしい思いをしているかもしれません。けれど、立ち止まって想像したいです。

きき取れなかったらちゃんと言ってね?
自分のことは自分で説明しなきゃ、相手には伝わらないよ。

それが、どんなに難しいことなのかを。


今の学校の授業にはICT機器が活用され
私の学生時代に比べて、多くの情報が見えるようになったのではないかと想像します。
しかし今の学校を見ていない私が、「中等度難聴をもつ子どもにとってわかりやすい授業」について語ることはできません。

ですので、どちらもマインド面の話になってしまいました。

もし悩まれている中等度難聴の子どもたちや先生がいらっしゃったら
この記事が届き、いち中等度難聴者としての私の言葉がほんの少しでもお力になることを願っています。

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この記事を書いた人

生まれつき中等度難聴で18歳から補聴器ユーザー。
山登りとコーヒーと本と文章が好き。
ろう学校教員、学校図書館司書を経てライターに。
夫と息子と3人家族(難聴は私だけ)。

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