こんにちは!つりざおです。今年の3月に無事に大学を卒業し、4月から社会人として働き始めました。社会人になってもブログの執筆は続けたいと考えているので、これからもよろしくお願いいたします!
筆者の自己紹介・聞こえについては、こちらの記事をご覧ください!
社会人になってからの毎日はあっという間で、毎日覚えることがたくさんありますが楽しく充実しています。今年は転勤があったため引っ越しを既に2回、経験したのですが、いい機会だと思いモノを減らすことに成功してとてもすっきりしました。
今回は、大学4年生の夏休みに行ったカナダの大学へ短期留学した体験談を共有したいと思います。なかなか聴覚障害のある学生の留学体験談は少ないため、ぜひ参考にしてくださいね!
聴覚障害者の留学に関する情報の少なさについて
聴覚障害者にとって、英語学習は苦手とする人が多いと一般的には言われています。私の場合は、普段の英語の会話はできてもリスニング試験でのスピーカーからの聞き取りは苦手でした。普段の校内放送ですら音が反響しており聞き取ることが難しく、ましてや英語だと実力を発揮できないと思い配慮を申し出ていました。
また、自分が留学に行く前に感じたこととして聴覚障害者による留学体験談の情報が少ないと感じていました。特に留学先での配慮の伝え方については中々周囲にも経験者がいない分情報を見つけることが難しいと感じたため、自分の体験談を記事にしようと思いました。
つりざおが短期留学を決心するまでの経緯
私が留学を決意した経緯について説明します。私は元々英語が得意で、幼いころから大学生になったら留学に行きたい!と思っていました。高校2年生の時には、英検準1級を取り(リスニングも座席の配慮のみ申し出て受験しました。)、海外留学に行きやすい国際系の学部に進学、とここまでは順調に見えました。しかし私が大学に入学した2020年にコロナによるパンデミックが始まり、留学が一気に遠い話になりました。その後徐々に留学は復活していましたが、なかなか踏み切る判断ができないまま3年生になり、就職活動を始めました。
就職活動を終えた後に、留学せずに4年間で大学を卒業するか留学に行くか迷いました。長期留学に行くと、私の場合は教職で必要な単位を取ることができなくなるため卒業が延びてしまいます。また、就職活動をもう一度やり直すことにもなります。そのため、結果として夏季休暇中に行ける短期留学に応募することに決意しました。留学は一度帰ってきてしまうとそれで終わりですが、いずれ仕事として海外とかかわりを持てば一度きりで終わらないのではないか?と考えた末の結論でした。
参加した短期留学の内容について
私が参加を申し込んだのは、カナダのビクトリア大学で3週間ビジネスの勉強をするといったプログラムでした。留学先の大学を選ぶにあたり、語学留学ではなく英語で授業を受けられるものに絞って検討しこちらの大学に参加を申し込みました。個人的にもカナダという国に興味があったため、勉強も遊びも充実させたい!と思い現地へ向かいました。
期間中は大学内にある寮で過ごし、プログラムの参加者は35名程度で、日本人が6割、イギリス人が3割、中国やメキシコからの生徒と多様な構成でした。
平日の9時から16時まで授業があり、内容はビジネスに関する基礎的知識を学ぶことを目的に構成されていました。
国際的な場で仕事をするために必要な知識や、広告の意図などを学び、最終課題は、グループで新規事業のプレゼンテーションを行うものでした。イギリスからの学生の方でイギリス英語がなかなか聞き取りにくく、話し合いの時点で苦戦しましたが紙に書いてもらったりするなど、何とか意思疎通を図りました。このように先生からの学びだけでなく、学生同士での相互学習も非常に学びになりました。どの授業も英語が母語でない方にも気を遣って分かりやすく話してくださいました。特に起業家精神の授業では、授業を受ける前は起業をする予定もないため自分には関係ないと思っていましたが、起業家精神は世の中に新しい価値を生み出すうえで必要な知識だと学び、非常に新鮮でした。
週末や放課後には、ホエールウォッチングやゲーム会が催されたり、ハイキング、ジップライン、ブッチャートガーデンの観光をしたりと様々なプログラムが用意されていました。授業時間では見ることのできない仲間の一面も見られ、非常に楽しかったです。
現地での生活は大学内にある寮で過ごしました。4人で1つの家を振り分けられ、個人部屋と2人で共用するバスルーム、共用キッチン、備え付けの調理器具がありました。私の場合はイギリス人の生徒とバスルームを共有していましたが、初対面でバスルームに土足で入られたことに文化の違いを感じました。このようなカルチャーショックも経験でき、留学の意義も十分に感じる良い生活環境だったと思います。
普段の過ごし方も比較的自由度が高く、授業時間外はそれぞれ自由に行動していました。バスを使ってダウンタウンへご飯を食べに行く人や、私の場合は週末に小型飛行機でバンクーバーに行きました。放課後に大学内のバーでカラオケ大会をしたり、振り返るととても楽しい思い出です。
留学先で申請した配慮について
留学にあたり、事前に申請していたことは普段の大学の授業の時と同じでした。先生方にFMマイクをつけてもらいたい、ということを事前に大学の留学課の方を通して現地のコーディネーターの方に共有して頂きました。
普段の大学で申請していた配慮内容については、こちらの記事で詳しく説明してあります!
実際に授業の場では、クラスによって先生が毎日変わるためほぼ毎日英語で先生のFMマイクをつけて頂くようお願いしていました。ただ現地のコーディネーターの方が既に伝えてくださっていたのか、割とスムーズに話をすることができました。毎日色々な方にお願いをしていると、英語でも自分の聞こえについてうまく説明できるようになりました。このように英語単体のスキルだけでなく、自分の聞こえについても伝えられるスキルがさらに一段階向上し嬉しかったです。
また、海外の大学ということもあり授業は生徒同士のグループワークが多めでした。そのためグループワークの時は一旦先生からマイクを外して頂き、グループ内で使用していました。周囲の学生もすんなり受け入れてくださり、おかげで英語でもグループワークに積極的に参加することができました。
留学先で聞こえないことによるミニトラブルとその対処法
留学で経験した聞こえないことによるミニトラブルが1件だけありました。私が滞在していた寮の各個室には簡易的な鍵がついていました。ある日の晩シャワールームを使っている間に、鍵をかけていなかったはずが何かの拍子でかかってしまったのです。鍵も、人工内耳や補聴器も部屋に置いたままで、何も聞こえない状態のまま部屋に入れないという事態になりました。同じ寮にいた同じ大学の子に状況を説明し、一緒に管理人の方へ合鍵を取りに行き何とか部屋に入れました!
事前に顔合わせの時に自分の聞こえについて説明していたおかげで、トラブルがあってもすんなり相手の方に状況を理解してもらえ、非常に助かりました。このように留学先でも、私の聞こえについての配慮は日本での大学生活と全く同じ内容でした。普段から学事課の方や教授方に自分の聞こえについて説明していたおかげで、現地でも困らずに授業を受けることができました。これは大学4年間の経験が培ってこそ活きたスキルだと実感したため、4年生で留学に行くことも一つのメリットだと感じました。
おわりに
もう留学から1年が経ちましたが、留学を通して仲良くなった同じ大学の後輩や、香港旅行に行くついでに留学で知り合った友人に会いに行くなど今でも交流は続いています。普段から自分の聞こえについて他の人に説明していたおかげで、海外でも困ることなく過ごすことができました。難聴のある学生でなかなか留学体験談、現地での配慮についての情報が少ないため少しでも皆様の参考になれば幸いです。