キコニワから未来を生きるろう・難聴の若者へ送る、
ろう者・難聴者版の職業図鑑。
あなたの目指す働き方のヒントに。
さまざまな職種のろう、難聴者にインタビューを行い
職業紹介の記事を連載します。
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カメラマン
光井 凌介さん(兵庫県)
きこえについて
生まれつき耳がきこえない。(先天性重度感音難聴)
小学校はろう学校、中・高は地域の学校に通う。
普段は補聴器を装用し、口話をメインとして生活する。
基本情報
フリーランスカメラマン
主にウェディングやお宮参りなどを撮影しています。関西を中心に活動していますが、ご相談いただければ全国飛び回ります!
業務内容
撮影依頼
打合せ(LINEやビデオ通話)
会場下見
撮影
編集
納品
この流れを約1ヶ月かけて進めます。
カメラマンになるまでの流れ
<光井さんの場合>
趣味からスタート
独学(約1年)
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オンラインスクール(マンツーマン指導)でカメラマンになるための必要な技術を本格的に学び、1ヶ月で合格ラインに達し、登録。
以下の理由から、情報保障は一切なし。
①ある程度の聞きとりができること
②人とコミュニケーションをとるのが好きなので、
自分から分からないことは聞くようにしていた。
短い期間でも諦めずにやる気を出してカメラマンになる夢を叶えました!
求められるスキル、必要な知識
①コミュニケーション力
相手が何を求めているのか汲みとる力。当日に初めてお客さまと会うので、最初のコミュニケーションがとても重要。そのときに程よい距離感を保つためにも大切なスキル。
②ビジネスマナー
適切な言葉づかい、礼儀正しいこと。
③撮影技術、編集技術
カメラマンとして必須。
④臨機応変に対応できる力
当日になって撮影許可が下りなかったとき、代わりになる場所を見つけて撮影。また、小さなお子さんを撮影することもあるので、おむつ替え等が必要になり時間配分を変更したりすることも。
カメラマンとして働くうえで大切にしていることは、ただいい写真を撮るだけではなくて、一生分の思い出と なる写真と楽しい時間、体験を提供していくことを心掛けています!
撮影スキルや編集スキルも大切ですが、コミュニケーション力がないといい写真が撮れないので、何よりも大切なのはコミュニケーション力なのかなと思っています。
1日の流れ
スキルアップのためにしていること
①手が空いている時はInstagramを見る
他のカメラマンの写真を見て撮影手法を参考に。
②カメラマンの友人と一緒に勉強会
一緒に撮影、編集することでお互いの技術を高め合う。
③遊びに行くときはカメラを持ち歩く
少しでも上手に写真を撮れるよう、日ごろから腕を磨く。
”現状に満足しない”
上手い人には撮れて、自分には撮れないものがあるのでスキルを上げていきたい。
教えて!センパイの経験談
この仕事を始めたきっかけ
カメラマンを仕事にしようと思った経緯を教えてください。
高校卒業後、4年制の専門学校でプログラミングを学び、いざ就職を考えたときになにか新しいものを創造していくような分野に興味を持っていました。
自分が興味あることはなんでもやってみたいと思うタイプなんです。
積極的ですね!
人とコミュニケーションをとることが好きなので、 それができる働き方を考えたときに、自分のやりたいことを仕事にしたいと考えていました。そして、趣味だったカメラを本格的に学び、仕事にしようと決めました。
光井さんは外見からも明るくてまさにコミュニケーションが大好きってオーラが感じられますね(笑)
ちなみにカメラが趣味というのはいつからでしょうか?
携帯電話のカメラであれば高校時代からで、20歳の成人祝いに親がカメラをプレゼントしてくれたんです。人物を撮るのが好きで、人の笑顔を撮るのが楽しいです。
笑顔の瞬間を撮るのってめちゃくちゃ素敵ですね!
楽しい瞬間
では、仕事をしていて楽しいなと感じる瞬間はありますか?
撮った写真を見せ、とても嬉しそうな顔をしていただけたときと、 リピーターになってもらった時がとても嬉しいですね。
なるほど、人の笑顔を見るとやりがいを感じますよね。
そうですね。そうだ、お客さまのなかに、飲み友達になった人もいます(笑)
それはすごい!!そんなこともあるのですね。仕事からプライベートの関係性に繋がるっていいですね!
仕事をするうえでの悩み、大変だったこと
仕事をしていくなかで、悩んだこと、悩んでいることはありますか?
ずーっと考えていたんですがないんですよね(笑)
おぉ~、それは素晴らしいことですね。そしたら質問を変えようかな。大変だったことはありますか?
お客さまが1時間遅れて来たことがありましたね。撮影時間は決まっているので、残された時間でいかに 撮影できるか時間との勝負だったときがありました。そういった意味でも、臨機応変に対応できる柔軟さが カメラマンにとっては欠かせないスキルですね。
きこえる人との協働の仕方
カメラマンということで、聴者と一緒に働くというわけではないと思いますが、お客さまが聴者のとき、どういった工夫をされていますか?
お客さまは聴者が多いので、口話で進めています。ろう者・難聴者といっても、きこえの程度は様々なので、一度会ってコミュニケーションをとったうえで、 自身のきこえ方を説明しています。
「聞きとりにくいことがあるので、聞き直すことがあるかもしれません」や 「後ろから話しかけられるよりは前に来てもらえば会話がスムーズです」というように簡単に説明することで 理解してもらうようにしています。
なるほど~。となると、依頼が来た段階でそのことを伝えるということでしょうか。
いえ!当日です。会ってから説明しています。そして、1回だけの説明に終わらせず、何度か繰り返し説明しています。 というのも、これまでろう者・難聴者に会ったことがないという方がほとんどで、1回の説明では 完全に理解するのは難しいと思うので、何度か説明することで、理解してもらうことが大事じゃないかなぁ。
なるほど。光井さんなりに編み出した自身のコミュニケーション方法の説明ですね。たしかに、一度に説明しても分かってもらいにくいですよね。
学生時代のこと
「やりたいことはなんでもやってみたい」という光井さん。子どものころはどんな性格でしたか?
小学生時代は暴れん坊でした(笑)
運動が好きで、今でもそうですが負けず嫌いな性格だったかな。
小学校はサッカー、中学校ではテニス。高校でバスケをしていて今でもバスケは続けています。
そうなんですね。
学生時代の思い出って何かありますか?
高校時代のバスケのことが一番印象に残っているかな。 1学年8クラスの学校で、大きな高校でした。クラスは違えど、お昼は机をくっつけて弁当を食べたり、 夏休みの午前練習が終わったあと、体育館から部室までの間にある水道にホースを繋げて汗を流したり。
めっちゃ青春!(笑)
そういうのって大人になったら味わえないですよね!
話は逸れてしまいますが、なんでも、デスバスケで世界大会に出場したことがあるとお聞きしましたが…。
はい。2018年にU21デフバスケットボール世界選手権に日本代表として参加しました。
当時のインタビュー記事を見つけたので、貼っておきます!
学生時代にしておくべきこと
光井さんが思う、学生時代にしておくべきことってズバリ何でしょう?
たくさん友達をつくって、一緒に遊びに行ったりすることかな! そこから、人との関わり方について学べる貴重な時間になると思います。
光井さんの思うカメラマンとして大事なスキルであるコミュニケーション力を磨くことに繋がりますね!
そうですね。それから高校生であれば、バイトをして社会経験を積んでおくと社会に出たときに絶対役に立つ!
なるほど~。ちなみに光井さんはどんなバイトをされたのでしょうか。
ドラッグストアや居酒屋、ジムのインストラクター、一般企業のバイトなどをしてきました。
結構、バラバラな業種ですね!
では最後に中高生へのメッセージをお願いします!
さいごに…
座右の銘
最後に座右の銘を聞かせてください!その人となりやその人の歩んできた道が少し垣間見えると思うんです。
“やりたいことあるんやったら、やったらええやん!”ですね。
おぉ~。関西弁なのがまた、光井さんらしさが表れますね!
その言葉にはどんな意味が込められているのでしょうか。
できるかどうかはやってみないと分からない。一歩踏み出してできるかどうかはあとで考えたら いいんじゃないかな。
学生のうちはお金がないと思うから、親に相談してみたりするのも大切なのかなと。
そこで親との交渉というか、会話からコミュニケーション力もつきますよね。
ありがとうございました!
最後はその言葉で締めていただきましょう。
やりたいことあるんやったら、やったらええやん!!
中高生へのメッセージ
勉強も大切だけど、とにかく友達をたくさん作っておくこと! 一緒に遊びに行ったり、ケンカしたり笑いあったり。 そのなかで人とのコミュニケーションの仕方が分かってくる。
思春期かもしれないけれど、親とも一緒にどこかへ出かけたりするといいんじゃないかな。 あとは、なんでもそうですが、諦めないこと。