難聴のある学生、母校ではない普通学校で教育実習に行ってきました!

生徒からもらった色紙です!進撃の巨人の好きなキャラクターを書いてもらいました。嬉しかったです。

 こんにちは!つりざおです。最近は花粉のせいで、くしゃみと鼻水が止まりません。寝起きの症状が特にひどいのですが、調べたら「モーニングアタック」という言葉があると知りました。とにかく早く夏が来てほしいです。

 前回は大学生活についての記事をまとめましたが、今回はその一環として教育実習の時のエピソードを振り返りたいと思います!私は、大学在学時に中学の社会科と高校の公民科の免許を取得しました。教育実習では普通学校の公立中で3週間お世話になりましたが、どのようにして実習を過ごしたのかをまとめたいと思います。

 私の障害についてですが、先天性の感音難聴で両耳とも100dBを超えています。普段は左耳に人工内耳、右耳に補聴器を装用して口話でコミュニケーションを取っています。大学では、FMマイクを使用して授業を受けています。大学での配慮内容については、こちらの記事にて詳しくまとめています。

目次

実習前

実習校が決定した経緯

 教育実習は基本的に母校で行うことが原則となっています。本当は出身高校でお世話になりたかったのですが、教員志望の人が多いために卒業後教員になる人しか受け付けていないと言われ、一般企業への就職を予定していた私は諦めることにしました。そこで出身中学校を検討したのですが、市の決まりで実習の申込期間が3年の1月ごろで、実習校が決定するのが4年の春というかなりタイトなスケジュールでした。

 大学の課程センター(教員免許取得に関する事務室)の人とも相談をし、最終的には申込期間が早い東京都立の中学校で実習を行うことに決定しました。下宿先から自転車で20分程度の距離の学校で、縁もゆかりもない地域で教育実習を行うことに当時はとても不安を感じていました。地元の中学校であれば実家から通うことができますが、東京の学校となると一人暮らしとなるため、朝起きられるかとても心配だったことを覚えています。

実習校が決まる前に大学に配慮を伝える

 教育実習の受け入れを申請する際に、大学の課程センターの方と事前に配慮内容について相談をしました。どのような障害があって、具体的にはどのような配慮が必要かを打ち合わせを行い、申込書の特記欄に記入して頂きました。配慮内容については、次の見出しで紹介しますが、基本的には大学の授業で依頼していることと同じ内容でした。

 課程センターの方も非常に協力的で、わざわざ面談のために時間を設けてくださり嬉しかったです。おかげで実習校が決定した時点で、実習校側も私の情報について把握することができたと思います。

実習中

 いよいよ迎えた教育実習の初日。朝が苦手な私でも5時半には目が覚めるくらい緊張していました。全体朝礼の時に体育館の前で自己紹介をした際に、聞こえについても軽く伝えました。「私は耳が聞こえにくくて、遠くから呼ばれると聞こえないことがあります。無視しているわけじゃないので、肩をたたいたりして教えてください!」と明るく伝えるようにして、「兵庫県出身なので、めちゃくちゃ関西弁喋ります!」とインパクトを残すように意識していました。

職員室での配慮

 職員室の中での配慮内容として、以下の点をお願いしていました。

  • 職員朝礼の時、学年主任の先生にFMマイクを装用してもらう
  • クラス担任の先生と伝達事項を確認する

 実習先で一番聞き取りに困った場面は、生徒の発表でもなく、朝の職員朝礼でした。私の実習先では職員全員で情報共有を行ってから、学年別の情報共有に移り、学年主任から連絡事項が言い渡される流れでした。この時同時に3学年の主任がそれぞれ自分の学年団に向けて連絡事項を話すため、席が近くても聞き取ることは困難でした。そこで、次の日から自分の担当するクラスの学年主任の先生にFMマイクの装用をお願いしました。おかげで、雑音の中でもメモを取りながらでも話を聞くことができるようになりました。学級運営を任されるようになってからは、クラス担任の先生と事前に連絡事項を確認してもらっていました。生徒に間違った情報を伝えないようにするためにも、ダブルチェックは徹底しておいて良かったです。

 職員室で指導担当の先生と授業内容の打ち合わせや、振り返りを行うときは周囲がざわざわしている時だけマイクを装用してもらっていました。これらの経験から、学生としての立場だけでなく、仕事をする上でもFMマイクは役に立つことを実感しました。

授業中での配慮

 授業中での配慮内容として、発表する生徒にFMマイクを渡して発言をしてもらうことをお願いしました。周囲が静かであればマイクなしでも聞き取ることはできますが、生徒の答えで予想もしていない言葉が出てきた時にはうまく対応できないと考えたためマイクの使用を決定しました。(普段のコミュニケーションだと、相手の発言内容が完全に聞き取れなくても文脈やその時話しているトピックから予測を立てています。)

 自分よりひとまわり年下、ましてや中学生に受け入れてもらえるかな?ととても不安でした。ですが、生徒たちは想像より早くすんなりと受け入れてくれました。私の授業の流れとして、例えば「人口が減って、若い人が少なくなるとどんな事が起こると思う?」と質問をして、挙手した生徒の中から当てて、一旦席までマイクを持って行ってから発言してもらっていました。一度席まで移動する手間はかかりましたが、発言内容をしっかりと拾って授業を展開するためにも、試みて良かったです。

 たまに挙手せずに生徒が発言することもありましたが、聞き取ることができたので、うまく発言を拾うことができた場面もありました。後に指導担当の先生にも「機転が利いていて良かったよ!」と評価して頂きました。

教育実習を終えての感想

 教育実習に行く前は不安と緊張でいっぱいでしたが、あっという間に3週間の実習が終わりました。実習期間中に運動会もあり、授業では見ることのできない生徒の一面や運動会の運営に教員として携わるという経験もできました。その後の打ち上げにも参加させて頂き、仕事以外の場で教員の方たちとお話しができ、とても楽しかったです!私が教員免許を取得したきっかけは、母の勧め(昔から大学進学の条件に、教員免許の取得を言い渡されていました…。)だったため消極的な理由でした。ですが、教育の現場に携わることで教員という仕事に対して一層理解し、魅力を感じるようになりました。教員という選択肢は選びませんでしたが、今後のキャリアを考えるタイミングで選択肢の一つにしたいです。

 また、自分の障害特性を先生、生徒という多様な相手に対して説明することができる自信もつきました。大学の授業で教授相手に説明してきたことが、教育実習という場でも活かすことができました。

 後日談ですが、後期から実習校へボランティアとしてもお世話になり、非常に良い経験ができました。教育実習で終わると思いきや、ここまで長く縁があるとは予想していませんでした。

おわりに

 難聴のある学生の場合、よく母校の聾学校に実習に行く人が多いのですが私の場合は普通学校で行いました。さらに母校ではないので、一から障害について説明をすることに不安を感じていましたが、自ら行動したおかげで快適に過ごすことができました。一番は実習先の教師、学生に恵まれたということですが(むしろこれが全てと言ってもいいほど!)、お互いにとってモヤモヤしないように「聞こえにくい」ことも素直に伝えることの大切さを学びました。

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この記事を書いた人

兵庫県の片田舎出身。
先天性の感音性難聴で両耳とも100dBを超えています。
2歳の時に左耳に人工内耳を装用。
大学卒業後、日系メーカーで勤務中。
目標は、世界中のユニバとディズニーを訪れることです。

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