ロンドン渡航~触覚で新たな世界を拓く旅

ロンドン渡航、触覚で新たな世界を拓く

2024年8月にロンドンに行きました。初めての欧州渡航、長時間のフライト、疲れと緊張が入り混じる中、足に感じるもの、手に触れるもの、すべてが日本でいつも触れ慣れているものと違います。刺激的でした。

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Keiken[i]とともに模索する

1週間、いろいろなワークショップや冒険をしながら、KEIKEN[i]とともに言語や世界を創り出す方法を探していきました。Morphogenic AngelsというKEIKENの作品のChapter2の実験制作としてそれぞれに異なる文化、言語、感覚をもつもの同士がどのようにともに新たな言語や世界を創れるかを探る旅です。プレイヤーが人間との相似性がありながら駆け離れた「モルフォジェニック・エンジェル(形態形成天使)」という存在を操作し、千年後火星のような世界を理解する旅に出るという作品で、Yaxuという形態形成天使は、エネルギーを守る、放出するというそれぞれの選択をしながら、旅を進めていきます。[ii]


[i]Keiken

Keikenは、2015年に、メキシコ、日本、ヨーロッパ、ユダヤなど様々なディアスポラ的背景を持つ、ターニャ・クルス、ハナ・オーモリ、イザベル・ラモスの3人により設立されたアート・コレクティブで、ロンドンとベルリンを拠点に活動しています。彼女たちは、スペキュラティブな未来を想像・構築し、新しい生命の構造と存在方法をシミュレーションします。日本語の「経験」を由来とするグループ名が示すように、彼女たちは「経験」というコンセプトで、活動のあらゆる面で意識の本質と未来を探求しています。

自分の触れ方とは…

自分の触れ方を考えました。

右手だけで触れて確認するとき、両手で触れて確認するとき、使い分けていることに気づきました。両手で確認するのは、重いものか大切だと思えるようなものに触れる時です。

イザベルさん(KEIKENメンバー)から手渡された小さな氷のようなウサギは、いとおしいものに感じられ両手で丁寧に触れました。そして、私は指5本で触れます。指5本から伝わる感覚から、情報を得たり、理解したり、思ったりします。5本の指から微妙に違う感覚を得て、統合していくイメージです。また、サマセット・ハウスではアイマスクをして食事をする体験をしました。私には重度の視覚障害があります。右目は光覚のみ、左目は強度の弱視と視野狭窄があり、私はほんの少し見える左目に頼っていますが、アイマスクをすると完全に音と光から閉ざされます。それでも怖くはなかったです。不便でもありません。ただ、その時に触れる動きに変化がありました。ゆっくりと丁寧に、触れることにより集中しました。

ロンドンの公園で

屋外では公園でワークショップを行いました。

公園の草の感覚が日本と違いました。

ロンドンの公園で野原を歩いた時に、ふかふかの雪の上を歩いているように感じました。

日本とは気候や土が違うので、植物の種類が違うのか、生え方がちがうのか、足裏に感じられる草から異国にいることを実感しました。

Keikenとの出会いから得た喜び

日本から長時間空を飛び、雲を突き抜け、陸に降り立ち、人々と出会い、触れることで喜びを感じ合う経験をしました。KEIKENと会いハグをして触れあうことで繋がり合う感覚が強まり、嬉しく感動しました。遠くの世界にいく不安がハグにより溶けていきました。出会えた喜びが怖さを消しました。

人と人が心から繋がるには努力が必要だということ、叶った時の喜びが繋がり続けたいという次の喜びに向かうことを知りました。日常と大きく異なる環境、海外の人々との初めての経験、日本では意識したことのない感覚を分析する機会をロンドンで得ることが出来ました。

KEIKENの映像

Instagramに他の映像もありますので、合わせてご覧ください。

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ロンドン渡航、触覚で新たな世界を拓く

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この記事を書いた人

たばた はやと:触覚デザイナー
1997年東京生まれ、現在は横浜在住、京都芸術大学大学院に在学中。先天性盲ろう者。コミュニケーション手段は、接近手話・触手話・指点字・筆談など。趣味はマラソン・旅行・2人乗りのタンデム自転車。

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