Deafセラピストのまとんです!
神奈川で10月10日に店舗をオープンした、「めめ菓子工房」をご存知でしょうか?
私はマルシェで「めめ菓子工房」のお菓子を買ったことがあり、味も見た目も素敵で、食べた瞬間、ホッとするようなやさしい味で感動しました。
「めめ菓子工房」の店主で、お菓子を作るホサナさんはどんな人だろう?と知りたくなり、インタビューをお願いしました。
(※インタビュー当時は、店舗がオープンする前に行いました)
実店舗のオープン決定、おめでとうございます!
オープンに向けて、クラウドファンディング(以下、クラファン)をされていましたが、なんと支援者が389人、支援総額が432万円!
目標を大幅に超えて達成されましたね。
お気持ちはいかがですか?
たくさんの人に応援していただき、クラファンに初めて支援してくださった方もいて、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
「自分はひとりじゃない、しっかり進んでいこう」と改めて感じました。
ホサナさんがお菓子作りを始めたきっかけを教えてください。
母が菓子教室の先生をやっていた時期があり、家の中には、お菓子作りの調理器具、材料が一通り揃っていて、いつでも作れる環境でした。
それもあって、自然に自分でも作るようになりました。
初めて作ったお菓子は何でしょうか?
小学生の時に作ったお菓子作りの基本、”パウンドケーキ“ですね。
パウンドケーキは、お菓子作りの基本中の基本で、簡単で美味しく、小麦粉や卵、砂糖などの材料からは想像できないほど、全く違うものに変わっていく過程が不思議で、お菓子作りの魅力にハマっていきました。中学生の頃には、作りたいと思ったレシピを自分なりにアレンジして作りました。そしていつでも作れるように、完成したお菓子を自分で撮影し、パソコンで編集して、私だけのオリジナルレシピ本も作っていました。
本格的に製菓の道に進むきっかけは何でしょうか?
六本木にある定時制の高校の朝の部に通い、午後からアルバイトをしていました。
高校2年生の時に、たまたま母と一緒に行った麻布十番にあるイタリアンのお店で出されたチーズケーキがとても美味しかったのです。母がそのお店のシェフにチーズケーキのレシピを教えてほしいと尋ねた流れで、シェフは私がお菓子作りが得意だと知り、その場でスイーツ担当になってみないかと誘われました。
小さなお店だったのですが、スイーツ作りをひとりで任せてもらえたことは大変光栄であり、勉強になりました。
そのあと、パン屋やバリスタとしても働きました。
バリスタでは、たまたま副店長が手話サークルに通っている方で、ぜひ一緒に働きたい!と声をかけていただきました。コーヒーが出来上がったときに、お客様を呼ぶのがなかなか出来なくて…(発音が通じない)。
どうしたらいいか考えた結果、レジでお客様が注文した商品とお顔を覚えて、出来上がったら、そのお客様に渡しに行くという感じでやっていました。
「どうやったらできるか」を常に考えながら仕事していましたね。
大学卒業する前に、これもまたご縁があって、サインウィズミー(東京にある手話カフェ)の立ち上げメンバーに携わることになり、スイーツ開発担当として5年間働きました。
スイーツ開発担当とは、どんなことをしていたのでしょうか?
スタッフが誰でも作れるようなお菓子をメインに開発しました。
自分で何種類か作ってみて、スタッフに試食、意見などを聞くなどを行いました。以前にバリスタで働いていたのがすごく楽しくて、手話カフェをやりたいなぁと漠然した夢を抱いていましたが、サインウィズミーを通じて経営に関わる中、こんなに大変なの!?と思い知らされ、その夢はいったん保留になりました…。
そのあと、引っ越しをして落ち着いた頃にお菓子教室を再開しようとした矢先に、コロナが始まってしまいました。誰にも会えない状況で2人の子どもの子育てをしていたので、お菓子を作ることが私の唯一の息抜きになっていましたね。
お菓子作りが、ホサナさんのココロを支えていたのですね。
「めめ菓子工房」としてスタートしたきっかけを教えてさい。
コロナ渦でも、マルシェにちょこちょこ呼んでいただき、そこからリピーターさんが増えていきました。
あと、同じ時期に世田谷のりんご専門店「いちりんご」でジャム作りやチップス作りの仕事も始めて、スタッフさんたちのお客様や商品に対する姿勢、人柄から学ぶことがたくさんありました。
そして周りの人たちの後押しもあって、よし!店舗を作ろう!!と決断しました。
ホサナさんを一番近くで見守っているご主人の反応はいかがでしょうか?
本当に実現できるのか?どうやって店舗を作り上げていくのか?など、一緒に考えてくれました。現在は経理担当、ホームページなどのサイト作成をお願いしています。夫の支えがあり、それが私にとって大きな救いとなっています。
店舗を作ると決心してから、もうすぐ店舗をオープンするまでの過程で、
大変!と思ったことは何でしょうか?
ありがたいことに、想像以上に多くの方がクラファンで応援してくださり、とてもうれしく思っています。
これまでのお菓子作りは、家庭用の調理器具を使っていましたが、それが業務用に変わったので、その機械の性格を把握して使いこなすまでに時間がかかってしまいました。
当初の予定より、スケジュールがかなり押してしまう事態になってしまいました…。新しい機械で試行錯誤しながら、計画をもう一度練り直して…というのが大変でしたね。
クラファンのリターンもあるので、週2、3の営業から始めて、来年には営業日を増やしていく予定です。
店舗のデザインでこだわったところを教えてください。
和洋菓子の雰囲気に合うように、黒、白、えんじ色の3色をベースにしています。
お店の前に植えたシンボルツリーが「山椒の木」なんです!
シンボルツリーが山椒の木って珍しいですね!
なぜ山椒の木を選んだのでしょうか?
私が山椒が大好きで、実が出来たらつまみ食いするかも(笑)
香りも良いし、管理しやすいという面もあって、日本産の山椒の木を選びました。お店に来られた時は、ぜひ見てください!
また、山椒を使ったスイーツも今後販売予定なので、お楽しみにしてくださいね。
手話に特化したお菓子を作るそうですが、どんなお菓子でしょうか?
手型落雁ですね。指文字を組み合わせて、サインネームみたいにすることもできます。賞味期限も長いので、贈り物にもぴったりです。
お店の状況が落ち着いたら、オンラインショップも始めていく予定です!
※指文字で「け」「た」「て」と表している小さなお菓子が、手型落雁です。
今後のビジョンとして、ろう者の雇用も考えているとのことですが、具体的に教えてください。
始めたばかりなので、お店の状況が落ち着いてから考えますが、ろう者の働く場所を提供したい想いもあり、いつか支店を作って、ろう者に運営してもらえたらと思います。
支店は、ぜひ大阪に!(笑)
考えておきます(笑)
最後に、ホサナさんのお菓子に対する想いを教えてください。
日々の生活で、食事は必要ですが、お菓子はなくても困りません。でも、お菓子があることで、人と人の会話のきっかけになったり、ワクワクだけでなく、苦しいことや悲しいことがあったときに、ホッとしたりと、そんな存在になるといいなぁと思いながらお菓子を作っています。
また、これは私の想いなのですが、日々の生活の中に「手話」があるだけで、手話が特別ということではありません。「ろう者が作る」という色眼鏡で見るのではなく、純粋に、お菓子の味を味わって楽しんでほしいと思います。
学生のころから、不思議なくらいにご縁がつながっていき、その中でお菓子作りの腕を磨いていったホサナさん。
紡いだご縁やいろんな想いをカタチにして、2024年10月10日に、念願の実店舗「めめ菓子工房」をオープンしました。
食材ひとつひとつにこだわり、安心して食べられるお菓子。そこに、「手話」というスパイスがかかっています。
ぜひ、山椒の木がお出迎えしてくれる「めめ菓子工房」に訪れて、お菓子を通してしあわせなひとときを過ごしてみてください。私もいつか店舗に行きます!ホサナさん、ありがとうございました。
※営業状況は、公式Instagram、公式サイトをチェック!
https://www.instagram.com/memekashi/