キコニワから未来を生きるろう・難聴に送る、
ろう者・難聴者版の職業図鑑。
あなたの目指す働き方のヒントに。
さまざまな職種のろう、難聴者にインタビューを行い
職業紹介の記事を連載します。
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イラストレーター(兼業)
ノノハさん
‐ 千葉県出身
きこえについて
生まれつき耳が聞こえない。幼稚部から高校までろう学校に通う。
宅配対応や外出時など必要なときに限定して補聴器を装用し、手話・筆談・音声認識ツール・チャットツールなど、視覚情報によるコミュニケーションで生活をしている。

基本情報
イラストレーター(兼業)
マーケティング支援会社の社員として働きながら、イラストレーターとしてクライアント(お客さま)の要望をヒアリングし、目的に応じたイラストを制作することで収入を得ている。また、表現活動も行っている。
(主な業務)
・育児やろう家族の日常を描いた漫画制作
・オリジナル絵本の制作・販売
・グッズ用イラスト制作
・企業・団体様のホームページ用挿絵、カットイラスト制作
・似顔絵制作
ノノハクライアントのテーマや想いを丁寧にヒアリングし、やわらかく伝わるビジュアル制作を心がけています。
1日の流れ

イラストレーターになるには
一般的なケース
画力や表現力を身につけるために、美術系の大学や専門学校で学ぶ人が多い。
その後、デザイン会社などに就職して経験を積んだり、SNSやポートフォリオで作品を発信したりしながら実績を重ね、最終的には、フリーランスとして独立したり、企業に所属しながらイラストの仕事を続けたりと、自分に合った働き方を選ぶ人が多い。
ノノハさんの場合
当初はグラフィックデザインを学ぶため、4年制の美術大学の受験を決め、高校3年生で予備校に通う。
その後無事合格し、進学。大学3年生のとき、SNS(Twitter)に手話のイラストを投稿したことをきっかけに、初めてイラストの仕事を受ける。その経験を機に、会社員として働きながら、イラストレーターとしての活動もスタート。
現在は本業と両立しながら、イラストの仕事を広げている。
ノノハ最近では学生のうちからSNSをとおして個人活動を仕事に繋げていることも!

こんな人が向いている!
① 相手の話を丁寧に聞ける
「自分の描きたいもの」だけでなく、相手の想いや目的をくみ取れる人。
イメージを合致させるためのきめ細かなヒアリング力はとても大切。
② コツコツ続けられる
イラストレーターとして仕事するために、絵の上手さは必須ではない。
それよりもSNSでの発信や作品制作、営業など、地道な積み重ねが求められる仕事。
一見派手な職業ではありますが、継続できる力が強みになる。
③ 修正に前向きに向き合える
イラストは“作品”であると同時に“仕事”でもあるため、修正依頼を前向きに受け止められる柔軟さが必要。
④ 自分から動ける
個人で活動する場合、制作だけでなく発信や案件獲得のための営業、納期管理もすべて自分で行うため、主体的に行動できる人に向いている。
求められるスキル、必要な知識
① 納期を守る責任感
決められた期限内に仕上げることは、仕事としての基本。
信頼につながる大切な要素。
② ヒアリング力
お客様の要望やイメージを正確にくみ取る力。
お互いの認識がズレたまま進めると修正が増え、納期に影響してしまう。
③ デザイン・パソコンの基礎知識
配色やレイアウトなど、見やすく伝わるデザインの知識。イラストの魅力をより引き出すために重要。
また、データで納品することも多いため画像ファイル形式(jpegやsvgなど)のようなパソコンの基礎知識も必要。
スキルアップのためにしていること
・SNSのリサーチ
主にInstagramで流行や話題、ニーズをチェックし、求められている表現やトレンドを学んでいます。
・継続的な制作
毎日1枚でもイラストを描くことを心がけ、技術の向上につなげています。

教えて!センパイの経験談
この仕事を始めたきっかけ
好きで描いていただけのイラストが仕事に。
――現在の仕事を始めたきっかけを教えてください。
ノノハ小さい頃から絵を描くことが好きでした。
大学在学中に初めてイラストの仕事をいただき、その作品が世の中に公開されたとき、大きな感動を覚えました。
好きなことを仕事にし、責任を持って制作し、その対価をいただく。その経験が自分にとって大きな転機となり、イラストレーターとして活動していこうと決意しました。
ダブルワークという選択
――ちなみに兼業としてイラストレーターをされているのはなぜですか。
ノノハ1つの収入源に依存したくなかったからです。
ライフステージの変化で会社を離れることがあっても、イラストレーターの仕事があれば安心できる。そんな心の支えにもなっています。
嬉しい瞬間
イラストレーターとしてのやりがい
――仕事で嬉しいと思う瞬間はありますか。
ノノハお客様に完成したイラストを納品し、感謝の言葉をいただくことが日々の制作のモチベーションになっています。
作品が誰かの役に立ち、喜ばれる瞬間に、イラストレーターとしてのやりがいを実感します。
悩んだこと、悩んでいること
避けて通れない営業
――仕事をしていくうえでの悩みはありますか。
ノノハ営業があまり得意ではないことです。
しかし、仕事を得るためには自分から動く必要があり、収入に直結する大切な部分でもあります。いかに仕事をつかんでいくかが、今の課題です。

きこえるクライアントとの会話の仕方
チャットツールを活用
――きこえるクライアントとの会話はどういった工夫をされていますか。
ノノハ聞こえるクライアントとのやり取りは、主にLINEなどのチャットツールを使用しています。文章だけでは伝わりにくい内容もあるため、相手に誤解がないよう、わかりやすく丁寧な表現を心がけています。
学生時代の印象的な出来事
内気な性格
――13歳の頃はどんな性格でしたか。
ノノハ通っていたろう学校で口話訓練があり、発音を褒められたにもかかわらず、地域社会では通じなかったことがショックでした。
そこから次第に、引っ込み思案で消極的な性格になったように思います。
昼休みも教室から出ることなく1人で絵を描いていたので、担任の先生からも心配されていたようです(笑)

影響を受けたヘレン・ケラーの本
――記憶に残っている出来事はありますか。
ノノハ小学6年生のとき、ヘレン・ケラーの本を読んだことがきっかけに、耳が聞こえない当事者として、よりよい社会づくりに関わりたいと思うようになりました。
その思いは「将来の夢」というテーマの作文にも書いており、今振り返ると、イラストレーターとしての活動の中で少しずつ実現できていると感じています。

絵を描くことが自信に
――消極的だった過去がありながら、今は自信を持って活動されている印象がありますが、変化のきっかけはなんでしょうか。
ノノハ大学から聴者に囲まれる環境となり、ろう者は自分一人という状況でした。
コミュニケーションの面で苦労することもありましたが、イラストの仕事をいただいたことをきっかけに、少しずつ自信を持てるようになりました。
満足のいく情報保障のために
――大学での情報保障はどのような状況でしたか。
ノノハ入学前は情報保障があると聞いていましたが、実際には十分に理解されているとはいえず、学生ボランティアによる無償のノートテイクが中心で、満足のいく体制ではありませんでした。
また、当時は音声認識アプリの精度も高くなく、授業の理解に苦労する場面もありました。そこで情報保障の必要性を伝え続けた結果、大学3年生の頃から有償の支援体制が整い、パソコンテイクやノートテイクが導入されるようになりました。
その結果、より安心して授業を受けられる環境となり、後にろう者の後輩が入学するきっかけにもつながりました。
学生時代にしておくべきこと
マナー・文章力が鍵
――ノノハさんが思う、学生時代にしておくべきことは何でしょうか。
ノノハ社会人としての基本的なマナーや、相手に正確に伝わる文章力を身につけておくことだと思います。
イラストレーターの仕事では、納品や依頼内容のやり取りなど、文章でコミュニケーションを取る場面が多く、これらの力が円滑なやり取りにつながります。

さいごに…
座右の銘
日ごろから心に留めている言葉を聞くことで
その人となりや、その人の歩んできた道が
垣間見えると思い、聞いてみました!
「勝利は、もっとも我慢強い人のものである」
ナポレオン
――最後に座右の銘を聞かせてください!
ノノハ「勝利は、もっとも我慢強い人のものである」です。
――その言葉にはどんな意味が込められているのでしょうか?
ノノハ困難に直面しても諦めず、描き続けることで、目標を実現できると信じています。

仕事ではお客様第一になるからこそ、自分が心から描くことを楽しんでいた気持ちを大事にしています。
イラストレーターを目指しているあなたへ
私も最初は趣味で描いていただけでしたが、SNSで投稿したイラストがきっかけで初めて仕事をいただきました。
好きなことを続けるのは簡単ではありませんが、描き続けることで必ずチャンスはやってきます。諦めずに、自分の絵を信じて描き続けてほしいです。

イラストレーターを目指しているあなたへ(手話動画)
ノノハさんの活動
ノノハさんが初めてイラスト仕事を受けた案件について書かれたnoteもぜひお読みください!

ノノハさんのInstagramアカウントはこちら!




