盲ろう者とスポーツ

皆さん、初めまして。私は先天性〈生まれつき〉盲ろう者で20代、学生です。

健常者や聴覚障害者は、様々なスポーツを楽しんでいます。

視覚障害者は目が見えないけれど音を聞くことができるので、ブラインドサッカーのようにボールから音が出る工夫をして球技を楽しむことができます。

では、目が見えない耳が聞こえない盲ろう者は、どのようにスポーツをするのでしょうか。盲ろう者にスポーツは不可能だと思っていませんか。

盲ろう者もスポーツを楽しむことが出来ます。私が好きなスポーツは、マラソン、2人乗りタンデム自転車、スキー、水泳です。私の他にもスポーツが好きな盲ろう者はたくさんいますよ。

目次

マラソン

〈伴走者とコミュニケーションをとっているところ〉

私は代々木公園・伴走伴歩クラブ〈略:バンバンクラブ〉に、中学生の時から所属しています。

毎週土曜日の午前中に練習会が開かれており、私は時々参加します。目が見える伴走者と共に伴走ロープを使って、マラソンの練習をします。マラソン大会に何度も出場している盲ろうの女性に、バンバンクラブを紹介してもらいました。バンバンクラブには、盲ろうのランナーがたくさん所属しています。

仲間と一緒に練習を重ね、横浜マラソン(7㎞)2022や東京マラソン(10㎞)2023に出場しました。いつかフルマラソン完走に挑戦したいと思っています。また、奈良マラソン、鹿児島マラソン、ホノルルマラソン、ニューヨークマラソンなどにチャレンジしたいです。

2人乗りタンデム自転車

〈晴眼者が前に乗り、後ろに私が乗っています〉

2人乗りタンデム自転車に乗ることも楽しんでいます。日本ろう自転車協会に所属しデフリンピックに出場したことがあるろう者からタンデム自転車のことを聞き、盲ろうの私でも自転車に乗れる、是非乗ってみたいと思うようになりました。同じころ、タンデム自転車を持っているメンバーがバンバンクラブにいることを知り、初めて代々木公園でタンデム自転車に乗りました。

視覚障害者がタンデム自転車に乗る時は、前に乗っている晴眼者が後ろに乗っている視覚障害者に、声で右や左、ブレーキ等の操作情報を伝えます。盲ろう者の場合には、あらかじめ決めておいた合図で伝えます。例えば、右に曲がるときには右手の甲に触れる、左に曲がるときには左手の甲に触れる、止まるときには手首をつかむなどです。

今年の7月1日に47都道府県の公道での2人乗りタンデム自転車公道走行が全面解禁されました。安全上から東京都が最後まで公道走行を禁止していたのですが、東京都もようやく解禁となり、全国の公道で走ることが出来るようになりました。全国でタンデム自転車を楽しめられ、とても嬉しいです。今後、2人乗りタンデム自転車のレース、パラリンピックに出場したいと思っています。

スキー

〈介助者が持っているのが青いハーネスです〉

先天性盲ろうである私は子どもの時、言葉を獲得することが難しいため、いろいろな経験をするために両親がスキーに連れて行ってくれました。小学校1年生の頃から、毎年1回、1泊2日で新潟県に行き、ボランティアの方や両親と一緒にスキーツアーに参加します。私は小学3年生くらいから一人で滑れるように練習をし始めました。

スキーをする時、他の人、木などにぶつからないようにハーネスを使っています。ハーネスは前に盲ろう者、後ろに介助者がいて、介助者が盲ろう者の体につけたハーネスを後ろで滑っており、止めてくれるので安全に滑ることができます。

スポーツを一緒に楽しもう!

スポーツは言語や文化の異なる仲間と一緒に楽しめることも魅力のひとつだと思います。

私の第一言語は手話ですが、手話が出来ない友達とも一緒にマラソンやタンデム自転車を楽しんでいます。盲ろう者がひとりでスポーツを楽しむことは難しいです。しかし、スポーツを通して多くの人とつながり、心豊かに自分らしく過ごすことができています。

〈自然の中で走るのは気持ちがいい〜!〉

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この記事を書いた人

たばた はやと:触覚デザイナー
1997年東京生まれ、現在は横浜在住、京都芸術大学大学院に在学中。先天性盲ろう者。コミュニケーション手段は、接近手話・触手話・指点字・筆談など。趣味はマラソン・旅行・2人乗りのタンデム自転車。

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